あかい秘密をなぞる指先【はたけカカシ】 (ページ1)

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1.はたと恐ろしい夢をみる。ページ1

1.恐ろしい夢

　どろどろとした暗闇の中にぽつりと立たされていた。現在地を探るべく気配とあたりを探るも、拡がるのは虚無、虚感──むなしいきもち。
　構えていたクナイを降ろして、それからもう一度胸の前に持ってきて勢いよく後方に振りかぶる。誰、と静かに問いかけても闇は答えてくれない。
　それは、雨となり、それは、ゆっくりと草木に染み込んでいく。そこで不可解な感覚に気がついて胃の底から吐瀉物をぶちまけてしまいそうになった。
　此処にはわたし以外、何もない。
　──それなのにどうして、草木に染み込んでいく様子が、読み取れたのだろうか。
　嗚呼、恐怖で頭が壊れそうだ。こうなってしまったのは誰のせいだろうか。
　壊したはずの闇が液体になり変わって、わたしを指さしていた。

　＊＊

「きゃー！今日もはたけくんってカッコいいねぇー！」
「いつも口布してるけど、なんか理由があるのかなあ」

　ざわめく黄色い歓声が流れ行くなか、はたと目が覚めた。此処はどこだろう。さっきまでわたし、深いところにいた、ような。

「え！うそ、また(、、)あの子に近づいてない？」
「はたけくんってば、やめておけばいいのに」

　あれ、わたし。
　深いところって？まって、ここ忍者学校の教室だ。まさか寝惚けているのだろうか。疲労または精神的な圧迫感からか。授業中に寝てしまうとはなんたる失態。……って、え？

「まーた授業中に寝てたでしょ」
「あはは……」

　腕を組んで呆れたようにため息をついた彼に、嘘みたいな空笑いが出て誤魔化しようがなかった。猫を拾ったときみたいに首根っこを掴まれて、耳元に口を寄せられる。

「この後、オレに付き合ってもらうから」
「……はい、スミマセン」

　嘘であって欲しい現実を目の前に頭を抱えざるを得ない。ていうか、はたけカカシ。そんなに何かを訴えるかのような瞳で見られてもわかんないよ。わたしがサボってたのは謝るからぁ……！