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事後の領域 >>【第拾参話】 ページ19

__『誰も居ない』__

それは、彼等が最も聞きたくなかった言葉。

聞きたくなくて、脳が言葉を受け入れられなくて、大勢の刀剣男士が唖然とした。

__『居ない』?……如何して。主は?

__嘘だ。居ない、となれば……それは……

「……如何して?居なければ可笑しいのに」

静まり返った大広間に、ボソリと呟かれた言葉。

誰もが息を呑み、身動きをしなかったのが幸いか。小さく呟かれた言葉は大広間に居た凡ての刀剣男士に聞こえた。

「でもっ、避難場所に行った皆さんの伝達では!」

「存在が、だろう?避難場所の神社に『居なかった』。
……可笑しいよ。可笑し過ぎる」

静かに言葉を紡ぐ、一人の青年。

「霊子は?香りは?躯の一部は?一滴の血も、無い?
ありえない……僕等は神だ。主を構成する凡てを、神格が高い彼等が見逃す筈がない。

……抑々、神社に『寄った』?」

淡々と、確認するように呟く緑の髪を一つに結った刀剣男士。

戦闘から戻って来た為、服が少し汚れて居るが……前髪に隠れた赤い右目に、反対の若菜(わかな)色をした左目。真白の袖なし外套(マント)を羽織る刀剣男士。

何処か怪しく、妖の様な掴めない雰囲気を纏う『にっかり青江』は唇に手を置き、伝達した脇差の刀剣男士をチラリと見た。

「……そ、れは……」

その瞳は無機質で怪しげに光り、感情が抜け落ちた様に思わせる。

「……それは如何云う意味ですかな。にっかり青江殿」

青江の雰囲気に身を竦めた伝達係の脇差を庇う様に、すっ……と前に出た水色の髪の刀剣男士が声を掛けた。

「……嗚呼、ゴメンね?一期君。別に鯰尾君を責めてる訳じゃあないよ。
大きい僕の独り言、だと思って呉れて構わないさ」

脇差――鯰尾藤四郎を庇う様に前に出た『一期一振』に青江は困り眉で笑って見せた。

「唯……確認したい事があるんだ。

ソレが如何なのかによって、僕等が置かれた状況はガラリと変わる。

まぁ……様子を見に行った人達が帰って来たら話すよ」

少し張り詰めた空気が流れる大広間は、青江が何時も通りの胡散臭い笑みを浮かべ乍ら肩を竦めた事によって弛緩した。

剣呑な空気が去り、黙って様子を見て居た誰もが「……ほっ」と溜息を洩らした。

問い合わせと結果 >>【第拾肆話】→←狭間の本丸 >>【第拾弐話】



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乙女になりたい。(プロフ) - お疲れ様でした!!とても楽しい作品でした!! (2020年10月11日 1時) (レス) id: a5fb63b44e (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - あやとりさん» お久しぶりです、僕の方こそ有難う御座います!続編も合わせ、是非とも宜しく御願いします……♪ (2018年3月10日 22時) (レス) id: 1eccbbab7e (このIDを非表示/違反報告)
あやとり - 焼きまんじゅうさん» ふわぁ…私こそ毎回この作品を楽しませていただいき本当にありがとうございます!これからも頑張ってください! (2018年3月10日 20時) (レス) id: bfcb2a7bd0 (このIDを非表示/違反報告)
焼きまんじゅう(プロフ) - はい、複数人ならば構いませんよ!リクエスト有難う御座います……☆ (2018年3月10日 20時) (レス) id: 1eccbbab7e (このIDを非表示/違反報告)
優梨奈(プロフ) - 粟田口と三条(でもいいんですかね?)でお願いします! (2018年3月10日 20時) (レス) id: 7cf4248c7f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:焼きまんじゅう | 作成日時:2017年10月9日 5時

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