【刀剣乱舞×文豪ストレイドッグス】 狂騒華櫻

問い合わせと結果 >>【第拾肆話】 ページ20

「主達は避難場所に居なかったぞ」

朗らかで間延びする様に聞こえる口調で、確認に行った刀剣男士の一振りが言った。

その人物は皆に聞こえるよう、大広間の上座付近に座る。

「……そっ、それでは主君は!」

大広間に集合した刀剣男士達に、又困惑が広がった。背丈の小さい短刀達は、身を寄せ合って泣き出しそうだ。

「皆、落ち着け」

ザワつく大広間に、凛とした声が響く。

「……そう失望するな。俺は唯､『居なかった』と云っただけだぞ」

威厳を放つその声に、ザワつく大広間はシィン……となる。
静寂が訪れた時、もう一度刀剣男士が口を開いた。

「俺達、岩融と今剣を抜いた三条と天下五剣。

他、神力の強い者達で用意した避難場所……
もとい『向こう』の神社を確認したが、主の霊力残滓を含め何もかも無かった。

勿論、膝丸と堀川と物吉の神力もな。向こうに行って判ったが……
如何やらゲートは繋がれても無かった(・・・・・・・・・)らしい」

「……繋がれても無かった？それは本当か、三日月」

「はぁッ？ならゲートに入った主達は何処へ行ったのさ！」

「なに……そう結論を急ぐな。鶴、加州」

眉を顰めて上座を睨み付ける『鶴』もとい『鶴丸国永』。

銀を薄めた白髪に、鈍く光る加羅(から)色の瞳。

今は汚れてしまって居るが、本来なら真白の着物を纏う彼は雪の様に儚く見える美男だが、実際の性格は天地の差。おちゃらけ、皆に『驚き』と称した悪戯を振り撒き良く笑う。

……世話焼きの刀剣男士達に説教を受ける常習犯だ。(平安生まれ)

普段は明るい吃驚爺さんだが、今はその面影も無く真剣な表情で『三日月』――もとい『三日月宗近』を見据える。

「……でもッ」

「一寸……落ち着けって清光。此処で怒っても無駄だって」

鶴丸から少し離れた場所で怒りを抑える『加州』――『加州清光』｡

乱れて居るが､艶のある黒髪に紅色の瞳。
黒と赤を基準とした戦闘装束に身を包む、お洒落が好きな刀剣男士｡

立ち上がった加州を仲のいい『大和守安定』が宥めた。

「ふむ……皆気が荒ぶって居るな。まぁ、無理も無いが……話を続けよう｡

取り敢えず俺達は神社に主が居ないと判った後、ゲートに主の霊力残滓……加え付喪神の神気が使われたかを調べた｡

結果は『微塵も無い』。
つまり、作動したゲートは違う場所に繋がったと云う事だな。

そして俺達は、主は生きて居ると云う結論を出して本丸に戻って来た」

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