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story*81  雨上がり ページ39




テントの外へ出ると、先程まで本降りだった雨は、次第に弱まっているようだった。
黒い雲に覆われてた空は、そのほとんどが薄い灰色に色を変えている。
落ちてくる雨粒はそれほど多くはないものの、モヤのような霧がひどく視界が悪い。

周りには崩れた廃屋がいくつか点在している。
以前は小さな村だったのだろう。
だが、遠くになるにつれ白い霧のせいで建物の位置さえ視認することができない。

今はエルヴィンの指示で、各班交代で周囲を警戒している。
日光が弱いせいか動きが鈍くなる巨人もいるが、平気な巨人もいる。
油断は禁物。
何よりも、視界が悪いことは命取りだ。

私はアンカーを放つと、一番近くの廃屋の屋根の上に飛び移った。
もう一つ先の屋根の上で、緑のフードをかぶり見張りをしているルイスの姿が見える。



「ルイス、様子は変わりない?」



立体機動ですぐ近くに着地して声をかけると、望遠鏡から視線を外しルイスがこちらを向いた。



「Aさん、今のところ巨人の姿は確認していません。…ただ、霧のせいでさっきより更に視界が悪くなってる。こうなると望遠鏡もそれ程役には立ちませんね」



建物の上から見下ろしても、視界が悪い。
すぐ後ろにある兵団の駐屯地のテントでさえ、白く霞みがかっている。
湿気を含んだ大気が肌にまとわりつき、…言うなれば嫌な空気だ。



「……こういう時が一番危ない」

「…そうですね」



壁外でいろんな経験をしているからこそ、肌で感じることがある。
予感にも似ている。

その時、かすかに空気が振動した。
わずかに感じる違和感。



「…今、…何か音しなかった?」



二人で耳を澄ます。

…ドシン………ドシン……

空気を震わせる振動。
間違いなく足音だ。



「…Aさん!あそこ!」



ルイスが指差す先。
わずかな霧の隙間に一瞬見えたのは紛れもない巨人の影だった。
すぐ霧の中に姿が隠れてしまった為、正確にはわからないが、おそらく15メートル級の大きな巨人だ。
まだこちらには気づいてないようだが、このまま真っ直ぐ直進すれば兵団のテントに行きついてしまう。
そうなれば犠牲者が出る恐れがある。



「すみません。見張りをしていたのに、接近に気づくのが遅れました」

「ルイスのせいじゃない。この視界じゃ仕方ないよ。…二人で仕留めるよ」

「はい…!」



距離もそれ程ない。
応援を呼ぶ時間はない。
巨人は一体。二人で仕留められる。

その時は、そう思っていた…――。

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ああ - 続きがめっちゃ気になります! (9月12日 17時) (レス) id: 951a2a07c6 (このIDを非表示/違反報告)
ああ - 更新待ってるよ〜 (9月12日 17時) (レス) @page39 id: 951a2a07c6 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - いつまで待ってるよさん» コメントありがとうございます!更新待ってくださってるということでしょうか。ありがとうございます(泣)。続きもう少しで更新できそうです。頑張ります! (2021年4月19日 23時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
いつまで待ってるよ - みゃー (2021年4月13日 16時) (レス) id: 96589efb3e (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - ミカサさん» コメントありがとうございます!更新お待たせしてすみません!待っていただきありがとうございます! (2021年3月21日 22時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沙羅 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年6月23日 16時

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