story*63 揺れる ページ20
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その後も、ハンジがまとめていた資料を整理した。
出会った巨人の大きさ、外見、特徴、動き、どんな風に人を捕食したのか。
奇行種の数、その特徴、変わった点、何に興味を示したのか…――。
壁外調査で得た情報を一つ残らず溢さないように『記録』として残す。
次の壁外調査に活かす為に。
今現在、壁外へ足を踏み出すには、人類にとってあまりにも情報が少なすぎる。
多くの犠牲を払い壁外調査を繰り返してきているが、そこで得られる情報はほとんどない、といっても過言ではない。
だからと言って諦めたら、そこで終わってしまう。
希望がなくなる。
『自由』という名の希望が……。
まとめた資料を机の上でトントンと揃え手の中に収めると、一息吐く。
「この辺りの資料はまとまったよ」
「ありがとう、A!助かったよ〜!」
「とりあえず、エルヴィンに報告書渡してくるよ。この資料もついでに持っていくから」
「じゃあ、コレとコレも渡しておいてくれるかい?私はこの報告書を仕上げるよ」
「わかった」
そう言って自分が部屋から持ってきた書類を手にした時、リヴァイに渡す書類があったのを思い出した。
「…ねぇ、ハンジ。これ、リヴァイに渡しておいてくれない?」
「え…?自分で渡せばいいじゃん」
「私はエルヴィンのところに行くからさ」
「その後行けば」
「いいから、お願い!」
ハンジは小さく息をつくと、わかったよ…と私の手から書類を受け取った。
「避けても仕方ないんじゃない…?」
「……わかってる」
「…ならいいけど」
ハンジの部屋から出ると、ドアの前で思わず大きな溜め息をついた。
あまり、会いたくない
…なんて、自分勝手な都合
わかってる
わかってるけど、アイツの前でどんな顔していいのかわからない…
リヴァイはいつも通り
何一つ変わりなく、私に接してる
私も今まで通りにしたい
なのに、……それができない
それはきっと、正面から向き合うのが怖いから…
本当に馬鹿だな、私―――
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ああ - 続きがめっちゃ気になります! (9月12日 17時) (レス) id: 951a2a07c6 (このIDを非表示/違反報告)
ああ - 更新待ってるよ〜 (9月12日 17時) (レス) @page39 id: 951a2a07c6 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - いつまで待ってるよさん» コメントありがとうございます!更新待ってくださってるということでしょうか。ありがとうございます(泣)。続きもう少しで更新できそうです。頑張ります! (2021年4月19日 23時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
いつまで待ってるよ - みゃー (2021年4月13日 16時) (レス) id: 96589efb3e (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - ミカサさん» コメントありがとうございます!更新お待たせしてすみません!待っていただきありがとうございます! (2021年3月21日 22時) (レス) id: d224b33113 (このIDを非表示/違反報告)
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