第57回壁外調査3 ―伝令 ページ19
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「…エレン、お前が撃て」
「っ…はい!」
煙弾を確認したリヴァイの指示に、エレンが少し慌てた様子で信煙弾を準備する。
煙が上がった位置は今は少し離れている。
だが、もしアレがそのままこちらに直進してきたとしたら…
「…兵長、…思った以上に近い位置です」
リヴァイの方へ近づくと、確認の意味を込めてAはそう声をかけた。
「…ああ。なんてザマだ…。やけに陣形の奥深くまで侵入させちまっているな」
そう言ってリヴァイはわずかに目を細める。
確かに、こんなに陣形の中心近くまで巨人が来ているなんて…
それ程までに手強い奇行種なのか…?
いくら索敵が上手く機能していないとは言っても……
それに、この進行方向へこのまま進めば、確かこの先にあるのは『巨大樹の森』
そこへ進路がぶち当ってしまう
森の中では陣形を維持できない
森は回避するしかない
その時、前方の班から口頭伝達の兵士がやってきた。
そして、その内容にAは一瞬耳を疑った。
―――中列・荷馬車護衛班のみ森へ進入せよ
「……え?」
何かの間違いかと思い、思わずリヴァイの顔を見やる。
だがリヴァイは、いつも通りの冷静な表情でそのままその伝令を聞き入れた。
「…A、聞いたな。後ろの班へ伝えろ」
「…えっ?…でも兵長、それでは……っ」
もはや、陣形が意味を失くしてしまう…
焦りの表情を表に出したAに対し、リヴァイがやや鋭い視線を向けた。
「…伝令を伝えろ」
その視線と言葉は、「自分の命令に従え」という意味と同義だった。
「ッ…はっ!!」
Aは出かかった言葉を呑み込むと、馬を反転させた。
後ろの班へと馬を駆けさせながら、Aは思わず唇を強く噛む。
リヴァイがその指示に従うということは、それが正しい判断だと思ったから…?
いや、何かが違う
長距離索敵陣形の維持は壁外調査においての要だ
右翼が壊滅状態となり、陣形が保てなくなっているとすれば、撤退命令が出てもおかしくない状況
それなのに、このまま作戦を続行する上、中列のみ巨大樹の森へ侵入
もう、陣形の意味はなくなる
一体、何故……?
団長は一体何を考えている……?
何が目的なの…この壁外調査…
そして、リヴァイは……何を知っているの…―――?
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第57回壁外調査4 ―幕開け→←第57回壁外調査2 ―胸騒ぎ
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まやや - 本編は女型の巨人でしたよね(名前かっこいい)オルオのボケシーンほんと面白くて和みます! (2020年10月24日 14時) (レス) id: e7ac9c5abf (このIDを非表示/違反報告)
まやや - これ決戦は相手と意思通じできる前提なのですか? (2020年10月24日 14時) (レス) id: e7ac9c5abf (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - レムさん» レムさん!コメントありがとうございます!レス遅くなってしまいすみません(>_<)最近通知の調子がおかしくて(泣)応援本当に嬉しいです!これからも更新全力で頑張ります!!(≧▽≦) (2017年4月22日 16時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
レム - いつも読ませてもらってます^ ^これからも応援してます!頑張ってください (2017年4月19日 0時) (レス) id: 070402a881 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - みーみーさん» プンプン丸…可愛いな(*´ω`*)兵長のシーン、ちょっと長かったね(*´∀`)この辺りの流れ、すごく好きなんだ!続きも頑張る〜!! 次はもうリヴァイ班のシーンに移る予定だよ((((;゚Д゚))) (2016年12月4日 23時) (レス) id: e76103ed1a (このIDを非表示/違反報告)
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