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夕方、目が覚めて、ランにぃと昼寝してたことを思い出す。
ソファーの上で、私に膝を貸してくれていたランにぃ。
痛くないかな、なんて思いながら、ゆっくり起き上がる。
帰らなきゃ。
幸せが一生続かないことを、私はよく知ってる。
ランにぃを起こさないようにランにぃの部屋に戻って、自分の持ってきた荷物を手に取る。
起こすのが悪い気もしたけどさすがに今日は帰るって伝えよう。
そう思って、ソファーにいるランにぃを揺らす。
しゃがんで、膝をゆすゆすしてみれば、少し不機嫌そうなランにぃの顔。
「おはよ」
私が声をかければ、目が合って、少し笑う。
私もそれに、ヘラッと笑って、帰るね、って。
「もう?」
「お父さんが帰ってきちゃう」
「なんで嫌な奴のとこもどんの?」
なんで?
なんで、か。
真っ先に思いついたのは、お母さんと妹の顔。
あの弱いお母さんに、あの小さい妹にお父さんを受け止めるのは難しい。
誰かが守らないといけない。
「私はナイトなの。守ってあげないと」
じゃあね、って、なんだかこの話を続けたくなくて立ち上がってみる。
玄関に足を向かわせれば、ランにぃがそばに着いてきて、お見送りしてくれるのかなって。
ローファーに足を通して、振り返る。
ランにぃに、じゃっ、て手を上げる。
振り返してくれたのを見て、ゆっくり、扉を開いた。
「A」
「・・・ん?」
「じゃあお前は、誰が守ってくれんの?」
「・・・」
何も言えないでいる私を見て、ランにぃは、はいって。
小さな紙切れ。
いつでも呼んで。って。
俺が拾いに行くから。って。
ランにぃの、メアドと電話番号。
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☆真菜*(プロフ) - ありがとうございます! (2023年3月28日 18時) (レス) id: af29f1e969 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - ☆真菜*さん» コメントありがとうございます!!とっても嬉しいです!ぜひぜひお好きなようにお願いします〜!ありがとうございます〜! (2023年3月28日 18時) (レス) id: bc1f8927b1 (このIDを非表示/違反報告)
☆真菜*(プロフ) - 素晴らしい作品を見つけてしまった!どうか私の小説の方でるるさんを宣伝(紹介)してもよろしいでしょうか!!!! (2023年3月28日 9時) (レス) id: af29f1e969 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - ミルねこさん» コメントありがとうございますー!とっても嬉しいです!今後もよろしくお願いしますー! (2023年3月17日 16時) (レス) id: bc1f8927b1 (このIDを非表示/違反報告)
ミルねこ - うっ……神作品を見つけてしまった…!夢主ちゃんに感情移入し過ぎで涙腺ヤバいです……!!蘭ちゃぁぁ〜ん!!早く連れ出してぇ!!続き、楽しみにしてます!! (2023年3月16日 21時) (レス) id: 0b8b35e0bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るる | 作成日時:2023年3月2日 0時