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噛まれた、というより喰われた感覚だった
横腹がズキズキと痛む。よほど深く牙をたてたのか中の肉が裂けそうなほど痛い


『っだァ…』

「血もらうぞ」


うらたさんはそう言うとじゅるりと厭らしい音をたてて血を吸った。吸ったというよりも、表現はおかしいけど血を喰ってるみたいな
痛いし、何だか意識が遠のいていく

じゅる、じゅるりと一心不乱に自分の血を喰べてるうらたさんを見たくなくて手で顔を伏せた
時折、可愛いなんて声を漏らしたことを私は知ってる。だから余計見たくなかった


「まだ、いい?ちょうだい」

『っはぁ、んぅ、』

「ん、うんま…」


例えるなら野生。獲物を見つけてその獲物を誰にも渡さんと言わんばかりの顔、少し怖かった

暗黙の了解で続けたはいいもののそろそろ限界。うらたさんが飲みきれなかった血がシーツに垂れているしうらたさんも既に目の焦点があってない。これはもしかして危険、なのでは


『う、うらたさん、私もう倒れちゃいます』

「もっと、ほしい、」

『あ“あ”…!』


グシャ、という音がした
これ下手したらほんとに肉を喰われてるかもしれない
にえたぎるような痛みに思わず足をバタバタさせる。悶絶するような痛さに耐えきれなかった

すると牙を抜いたうらたさんはそのまま顔を近づけて唇を重ねた。鉄の味がした
やがて重ねるだけだった唇は隙間から舌が入ってきて私の口内を掻き荒らした。無理矢理私の舌と絡めようとしてくるのが嫌で涙が出ていた


「甘い、全部甘い」

『いった…やめ、て』


翠色のエメラルドの瞳は止まることを知らなかった。昨日の志麻さんや坂田さんとは比べものにならない。この人は終わろうとしない
そう悟った瞬間、私は死を覚悟した

唇が離れうらたさんは濡れたまま鎖骨を舐めた。びくんと感じれば感じるほどうらたさんは嬉しそうにする。その顔は悪魔そのものだった
そして


『ひぃ、!』


横腹だけでなく鎖骨までに牙を刺してきた
そこで私は意識を手放した





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しゅー(プロフ) - 初コメ失礼します!久しぶりの更新嬉しいです!これからも応援しています! (2020年2月23日 10時) (レス) id: e82b0f1951 (このIDを非表示/違反報告)
メグミルク - コメント失礼します!!この作品めっちゃ面白くて大好きです!!頑張ってください!!応援してます!! (2020年2月19日 20時) (レス) id: 6a7c0777cd (このIDを非表示/違反報告)
mio - この作品 大好きです!応援してます!! (2020年2月16日 14時) (レス) id: bdb1a7276a (このIDを非表示/違反報告)
あいす - 初コメ失礼します!とても面白いです!更新頑張ってください!待ってます! (2019年12月30日 10時) (レス) id: 53c9f0c34f (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 作品好きですはまるw (2019年12月22日 11時) (レス) id: 8efed06d87 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:.。なな。. | 作成日時:2019年12月4日 18時

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