☆3 ページ4
約束の合宿開始日。
私は忍と一緒に目的地へ向かっていた。
予想はついていたが、やはり着いたその先で一番に目に入ったのは大きな海だった。
「でっかいでござるな〜！夢ノ咲の近くの海もなかなか広いでござるが、もっと広く感じるでござるよ……！」
「そういや忍んとこの近くにも海あったんだっけ。……忍、そんなはしゃいでるとそのうち転ぶよ」
「大丈夫でござるよ！忍者ゆえ、バランス力には長けているでござる！……というか、Aちゃんは拙者のこと子供扱いしすぎでは」
他愛もない会話を交わしつつ、海辺を歩いていると人影が見えた。
どうやら忍も見つけたようで、「むっ！あれは……」と声を上げる。
と、その時。
「おお〜〜〜い！！！仙石〜〜〜！待ってたぞ〜〜〜！！」
めちゃくちゃでかい声が聞こえてきた。
待って、声量ハンパなさすぎじゃない？アイドルってみんなこんな感じなのか……？
「やはりあれは隊長殿でござるな！それにみんなお揃いで……！」
そして平然とデカい声を受け止める忍。
慣れてるな……。
「ほらAちゃん行くでござるよ〜！」
「あ、うん……ってちょっと、速……！」
急ぎ足の忍に手を引かれ、自然と私も走る形に。
砂浜だから足を取られそうになったが、なんとか体勢を整えて転ぶのを阻止する。
距離が縮まるにつれて、ようやく私たちを待っている人達の姿がはっきりと確認できた。
男の人が四人。
やっぱりみんなアイドルということもあってかなり顔面偏差値が高い。
「遅くなって申し訳ないでござる！」
「気にしなくていいぞ、俺たちもさっき来たところだしな！……ところで、彼女が例の"助っ人"か？」
「そうでござる！紹介するでござるよ、拙者の幼馴染みの篠原Aちゃん！」
ぐいぐいと私の背中を押す忍。
これは前に出ろ、ってことなのかな……。
「篠原です。よろしくお願いします」
とりあえず一歩前に出て一礼すると、真ん中に立っている茶髪の男の人が「よろしくな！」と笑った。
……笑顔が眩しい。
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