思いを大切に ページ46
「私は……きっと受け入れると思います」
フクジさんは無言を貫いた。
けれど居心地の悪いものではない。私の言葉を待っているようだ。
「もちろん、内容にもよりますが……でも、私、わかるんです。きっと彼は、私のことを思って決断してくれるって。だから、それが私の意向と違うものだったとしても、彼がその方が私のためになるって判断してくれた、そう思えるから……」
私は湯呑みの中身を一気に飲みきり、落ち着いて言い放った。
「きっと受け入れます。彼の思いを、大切にしてあげたいんです」
私はアランを信じてる。アランの決断なら、きっと納得できる。私を不幸にする決断なんて、アランはしない。
頭の中は、アランに対する想いでいっぱいになっていた。
少し間をおいて、フクジさんは、ふうぅとため息をついた。
「その言葉、忘れないようにしておくんじゃな。きみがそう考えるのなら、最後まで考えを貫け」
フクジさんは立ちあがり、外に目を向けた。
「もうじき日が沈むじゃろ。こんな老いぼれの長話に付き合わせてすまなかったの。入り口まで送っていくぞい」
フクジさんのお言葉に甘えて、送ってもらうことにした。
帰る前にみんなを迎えに行くと、みんなはもうすっかり元気になっていて、この大自然に癒されているようだった。自然ってすごい。
みんなをボールに戻して、フクジさんとジムの入り口まで戻る。
「今日はありがとうございました。お茶、すごくおいしかったです！」
「いやいや、こちらこそありがとの。あのお茶を気に入ってくれたようで何よりじゃ」
フクジさんは誇らしげにそう言った。
もしかしたらあのお茶も、フクジさんの育てたお茶の葉から作ったのかもしれない。うん、あり得る。
他愛もない話をして歩いていくと、いつの間にかジムの入り口まで戻っていた。
「送っていただき、ありがとうございました。またお邪魔してもよろしいですか？」
フクジさんは二回うなずいて答えてくれた。
私は別れの言葉を告げ、ポケモンセンターに向かおうとした。
「A！」
踵を返した私の後ろ姿に、突如フクジさんが呼び掛けた。
私がくるっと振り向くと、フクジさんはゆっくりと、私に言い聞かせるように口を開いた。
「他人のために動くのは、もちろんいいことじゃ。だが、それよりも大切なことがある」
風が木々の枝を揺らし、葉と葉が擦れる音が聞こえる。
風が止んで、フクジさんは再び口を開いた。
「A、きみはもっと自分を大切にしろ」
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頂志桜(サム)(プロフ) - はじゅさん» お久しぶりです！コメントありがとうございます！逆ギレされるほど気に入ってもらえて、うれしいです(謎) でも、期末の勉強を疎かにしてはいけませんよ〜(と言っている私もテスト期間なので人のこと言えませんが……笑) お互い頑張りましょう！ (2018年6月26日 22時) (
レス) id: 1b8d8957f6 (このIDを非表示/違反報告)
はじゅ - おかげで期末全然勉強できません！！（こんなに面白い作品をありがとうございます神様） (2018年6月26日 20時) (レス) id: 26f7e5e552 (このIDを非表示/違反報告)
はじゅ - お久しぶりです！もういつまで経ってもなんでこんなに面白いんですか！！（謎の逆ギレ (2018年6月26日 20時) (レス) id: 26f7e5e552 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 深雪さん» コメントありがとうございます！そして、お誕生日おめでとうございます！！実は、このシリーズも今日が誕生日なんです！感慨深いですね〜 (2018年6月12日 21時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
深雪 - きょうはわたしのたんじょうび (2018年6月12日 12時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：頂志桜 | 作成日時：2018年6月9日 15時
