手強い相手 ページ5
【A視点】
ステージが終わった。すべてを出し切ったせいで、私もレイアもアステも、半ば放心状態で控室に戻った。
疲れがどっと押し寄せてくるけれど、精神的には全く苦痛じゃなかった。むしろ、やりきったからこそ感じられるこの疲れがうれしい。
控室に備え付けのモニターには、現在ステージでパフォーマンス中のミミロップを連れた少女――リンナという名前らしい――の姿が映っていた。
ミミロップのジャンプ力を生かした、かっこよさ重視のパフォーマンスで、見ていて飽きなかった。もっと見ていたいと思ったけれど、パフォーマンスの時間は限られているから仕方ないね。
その次に登場したのは、ユキワラシとニャスパーを連れた少女。観客席から「スピカ」と呼ぶ声が聞こえてきた。そうだ、「スピカ」だ。エイセツのときもその名を呼ぶ声があったのを思い出した。
スピカのステージは、自信に満ち溢れた堂々としたものだった。客席に向かって技を放つことが多く、観客も巻き込んでこそのステージというところかな。観客の湧かせ方がよくわかっている。これは相当な場数を踏んでいるとみた。
彼女のパフォーマンスが終わると、観客席は彼女の色である水色の光でいっぱいになった。
これはちょっと手強い相手ね……。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ちょっといい?」
少しの緊張感を持ちつつ、結果発表を大人しく待っていた私に、声をかけてきた子がいた。
「え? 別にいいけど……えっと、スピカちゃん」
声をかけてきたこの子、スピカは露骨に嫌そうな顔をした。
「スピカでいい。ちゃん付けで呼ばれると、なんか調子狂うのよ」
「わかったよ、スピカ」
私がそう返すと、スピカは勝ち誇ったような微笑みを浮かべた。正直な子だ。
「あたし、今回はあなたに絶対負けたくないと思ってステージに立ったの」
いきなり、スピカがきっぱりとそう言った。すぐにその言葉の意味が理解できなかった私に、スピカは仕方なさそうに言葉を付け足した。
「あなたがあたしのライバルだって言ってるのよ!」
「ライバル……私が!?」
確かにパフォーマー同士はみんなライバルだけど、ここまで競争心を見せてきた子は初めてだ。
「あなた、エイセツのときにあたしに勝って一次審査を突破したでしょう? あのとき、あたしは初めての一次審査落選を体験した。言ってることわかる? あなたはあたしの前に立ちはだかった壁なのよ!」
スピカの熱気に押されて何も言えない……。
20人がお気に入り
「アニメ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
頂志桜(サム)(プロフ) - はじゅさん» お久しぶりです!コメントありがとうございます!逆ギレされるほど気に入ってもらえて、うれしいです(謎) でも、期末の勉強を疎かにしてはいけませんよ〜(と言っている私もテスト期間なので人のこと言えませんが……笑) お互い頑張りましょう! (2018年6月26日 22時) (レス) id: 1b8d8957f6 (このIDを非表示/違反報告)
はじゅ - おかげで期末全然勉強できません!!(こんなに面白い作品をありがとうございます神様) (2018年6月26日 20時) (レス) id: 26f7e5e552 (このIDを非表示/違反報告)
はじゅ - お久しぶりです!もういつまで経ってもなんでこんなに面白いんですか!!(謎の逆ギレ (2018年6月26日 20時) (レス) id: 26f7e5e552 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 深雪さん» コメントありがとうございます!そして、お誕生日おめでとうございます!!実は、このシリーズも今日が誕生日なんです!感慨深いですね〜 (2018年6月12日 21時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
深雪 - きょうはわたしのたんじょうび (2018年6月12日 12時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:頂志桜 | 作成日時:2018年6月9日 15時