泳げない ページ31
【A視点】
ついに来た。きれいな石畳が広がる、海辺の街。洞窟を出る前から感じていた潮風をはっきりと感じる。海の匂いだ。
シャラジムはこの街の奥にあるマスタータワーの中にあるらしい。
すぐにでもバトルしたいという思いが、疲労が溜まっているはずの両脚を動かす。
その結果、1分もかからずに街の奥の砂浜にたどり着いた。その先にマスタータワーがある。
のは、いいんだけど……。
「道が……ない!?」
目の前にあるのは、海の深い青。それだけ。
これは私に泳いで行けと言ってるの……!? いや、私、海では泳げないんだけど……!?
「おや、もしかしてシャラジムのチャレンジャーか?」
覚悟を決めて海に体を投げ入れようかと葛藤していたところに、その声が聞こえて振り返った。
そこにいたのは、背筋がぴんと伸びていて元気そうなおじいさんだった。
「はい! でも道が見つからなくて、どうやって行けばいいのかわからなくて」
おじいさんは私の言葉を聞いてすぐさま笑い出した。
「この時間に道が見つからないのは当然だ。夕方にならないと潮が引かないから、今は泳がないと向こうに渡れんよ」
ああ、やっぱり泳ぐしかないのか。
「あ、さっきは空を飛んできた奴がいたな」
なるほど、そらをとぶを使えばいいのね。頭いいなぁその人。
「ま、泳ぐにしろ、空を飛ぶにしろ、ジムリーダーのコルニは外出中でジム戦はできないぞ」
「えっ!?」
まさかのバッドタイミング。バトルしたくてしょうがないけれど、ちょっと我慢して待つか。
「ごめんなチャレンジャー。ジム巡りをしているのなら、今のうちに次の街に行くなり、戦いの準備をするなりしておくといい。コルニは一度外に出たらすぐには戻ってこないんだ。道中でトレーナーに勝負を挑みまくるからな」
なるほどね。ジムリーダーは好戦的ってわけだ。そっちの方が燃え上がるよ。
となると、そうだね……次の街、ヒヨクにもジムがあったはずだから、先にヒヨクジムを攻略しようかな。
「おじいさん、親切にどうもありがとうございました!」
見ず知らずの私の身になって考えてくれたんだもん、お礼するのは当然だよね。
「おうよ。わしはコンコンブルっていってな、この街のことは何でも知っているから、いつでも聞きにおいで」
元気よくコンコンブルさんに返事をし、勢いよく踵を返し、12番道路に向かって駆け出した。
「あの子……まさかな」
その後のコンコンブルさんの呟きは、聞こえなかった。
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頂志桜(サム)(プロフ) - はじゅさん» お久しぶりです!コメントありがとうございます!逆ギレされるほど気に入ってもらえて、うれしいです(謎) でも、期末の勉強を疎かにしてはいけませんよ〜(と言っている私もテスト期間なので人のこと言えませんが……笑) お互い頑張りましょう! (2018年6月26日 22時) (レス) id: 1b8d8957f6 (このIDを非表示/違反報告)
はじゅ - おかげで期末全然勉強できません!!(こんなに面白い作品をありがとうございます神様) (2018年6月26日 20時) (レス) id: 26f7e5e552 (このIDを非表示/違反報告)
はじゅ - お久しぶりです!もういつまで経ってもなんでこんなに面白いんですか!!(謎の逆ギレ (2018年6月26日 20時) (レス) id: 26f7e5e552 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 深雪さん» コメントありがとうございます!そして、お誕生日おめでとうございます!!実は、このシリーズも今日が誕生日なんです!感慨深いですね〜 (2018年6月12日 21時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
深雪 - きょうはわたしのたんじょうび (2018年6月12日 12時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2018年6月9日 15時