不思議な再会 ページ21
長老が去った後、私は20年前の今日にお母さんがここを訪れたという事実に感動していた。やっぱり親子で通じ合うものがあるんだなぁ。
列石が見せた光景、長老の話、お母さんと私の力。10番道路とこの町に来て疑問が増えたけれど、今考えても答えは出なさそうだ。でも、いつかきっと、そう遠くない未来で、答えを見つけにまたここに来る。そう確信した。トライポカロンの件もあるし。
この町に一旦さよならを告げて、11番道路へ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
高低差が結構ある11番道路を、時にぴょんぴょんと飛び跳ねたり、リズムよくスキップしてみたりして乗り越えると、目の前には大きな洞窟が。
どうしようか迷うこともなく、私は思い切ってその洞窟の中に入っていった。
この洞窟の名は、映し身の洞窟。その名の通り、洞窟の中に大きな鏡があって、自分の姿が映し出されている。正確には鏡ではなく岩の壁面らしいけれど、いやはや、見てみるとこれが岩だとは思えない。
自然が作り出した鏡に映った私の姿は、ちょっと疲れたような雰囲気だった。私、そんなに疲れを感じてないんだけどな?
何となく鏡の中の私と手を合わせてみようと思って、鏡に手を近づけた。
その瞬間、鋭いほどの痛みが指先から頭のてっぺんに走り抜けた。
「うっ……!?」
思わず私と鏡の中の私が顔をしかめる。ああ、私、痛いときはこんな顔するんだな。
そんなどうでもいいことを考えて、痛みの余波を感じながら鏡の中をのぞき込んでいた。
そのとき、一瞬だけ、鏡に愛しい人の姿が映った気がした。
「今のは……?」
きっと見間違いだろうと思いながらも、ちょっとだけ見間違いじゃないことを期待している私がいる。やっぱり私、あの人に――アランに、会いたいんだね。
自分の恋心を再確認して、約束は約束、また会える日を待とうと自分に言い聞かせる。
それでも少しは名残惜しく思ってしまって、もう一度鏡に手を伸ばした。
今度は痛みは感じなかった。だけど、その代わりに。
「……見間違い、じゃなかったのね」
目の前に映っていたのは、私の姿ではなく、アランの姿だった。私の姿はどこかに消えてしまっている。いったい何が起こっているのかわからなかったけれど、私は冷静だった。
「A」
鏡の中の彼から呼びかけられても、驚きの声一つ上げなかった。
「久しぶり、でいいのかな。よくわかんないですけれど」
私が笑い交じりにそう言うと、鏡の中の彼は困ったような表情を見せた。
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頂志桜(サム)(プロフ) - はじゅさん» お久しぶりです!コメントありがとうございます!逆ギレされるほど気に入ってもらえて、うれしいです(謎) でも、期末の勉強を疎かにしてはいけませんよ〜(と言っている私もテスト期間なので人のこと言えませんが……笑) お互い頑張りましょう! (2018年6月26日 22時) (レス) id: 1b8d8957f6 (このIDを非表示/違反報告)
はじゅ - おかげで期末全然勉強できません!!(こんなに面白い作品をありがとうございます神様) (2018年6月26日 20時) (レス) id: 26f7e5e552 (このIDを非表示/違反報告)
はじゅ - お久しぶりです!もういつまで経ってもなんでこんなに面白いんですか!!(謎の逆ギレ (2018年6月26日 20時) (レス) id: 26f7e5e552 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 深雪さん» コメントありがとうございます!そして、お誕生日おめでとうございます!!実は、このシリーズも今日が誕生日なんです!感慨深いですね〜 (2018年6月12日 21時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
深雪 - きょうはわたしのたんじょうび (2018年6月12日 12時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2018年6月9日 15時