哲学的 ページ16
「アランさん……!」
意を決したような表情で俺に語りかけるキリナ。
「あの……おかしなことを言うと思いますが……その……」
一度目をぎゅっとつむってから、大きく息を吸い込んで、俺の目の前に立つ少女はその言葉を放った。
「次に私に会ったときは、それを私だとは思わないでください」
その言葉の意味を問いただそうとする前に、彼女は俺に背を向け、去ってしまった。
キリナ本人が言うように、おかしなことだ。次にキリナと会うときには、そこにいるキリナはキリナではない……。なんというか、哲学的だな……。
「ちょっとちょっと! 待っていてって言ったのに!!」
後ろから活発な声が聞こえて、瞬時に振り返る。
そこにはコルニとルチャブルが腹を立てた様子で立っていた。
「ああ、すまなかった。知人の姿を見かけて、つい」
「そうだったの? んー……それなら仕方ない」
にひっと笑うコルニ。この笑顔、サトシのと似ている。直感でそう思った。
「ね、早く行こうよ! 準備ならできてるから!」
コルニが待ちきれなさそうに拳を握り、訴えかけてくる。
「そうだな。ちゃんとついてこいよ」
俺はリザードンの背中に乗り、空高く飛んだ。
「言われなくてもわかってるよ!」
コルニは羽ばたくルチャブルの足に手をかけ、ルチャブルにぶら下がるような体勢で運ばれている。なるほど、そうやって運ぶのか。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ミアレに戻ってきた俺は、コルニを連れて、Aの実家、教官のいるこの家に帰ってきた。
玄関を開けると、ちょうど今帰ろうとしていたらしいゴジカさんと鉢合わせた。
「やはり帰って来たか。アラン、それにコルニ」
「え、ゴジカさん!?」
後ろから驚愕の声を出すコルニ。その姿を見てゴジカさんはくすっと笑い、「先に失礼するぞ」とだけ言い残して去っていった。
「相変わらず、あの人は言葉が足りないんだから」
そこにひょっこり顔を出したのは、苦笑している教官。
「さっき未来予知をしてもらったのよ。この後何が起こるのかをね。それで、アランくんとコルニがここを訪ねてくるって結果が出たの。本当、あの人の予知は外れることないわねぇ」
教官はゴジカさんとの交友もあるのか。人脈豊かすぎやしないか。
「立ち話もなんだから、二人とも上がりなさい」
教官に言われて、俺とコルニは家の中に入った。
コルニがここに来るのは初めてらしく、珍しいものを見るように部屋のインテリア一つ一つに目を輝かせていた。
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頂志桜(サム)(プロフ) - はじゅさん» お久しぶりです!コメントありがとうございます!逆ギレされるほど気に入ってもらえて、うれしいです(謎) でも、期末の勉強を疎かにしてはいけませんよ〜(と言っている私もテスト期間なので人のこと言えませんが……笑) お互い頑張りましょう! (2018年6月26日 22時) (レス) id: 1b8d8957f6 (このIDを非表示/違反報告)
はじゅ - おかげで期末全然勉強できません!!(こんなに面白い作品をありがとうございます神様) (2018年6月26日 20時) (レス) id: 26f7e5e552 (このIDを非表示/違反報告)
はじゅ - お久しぶりです!もういつまで経ってもなんでこんなに面白いんですか!!(謎の逆ギレ (2018年6月26日 20時) (レス) id: 26f7e5e552 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 深雪さん» コメントありがとうございます!そして、お誕生日おめでとうございます!!実は、このシリーズも今日が誕生日なんです!感慨深いですね〜 (2018年6月12日 21時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
深雪 - きょうはわたしのたんじょうび (2018年6月12日 12時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2018年6月9日 15時