目に留まった姿 ページ15
コルニを待っている間、何気なくこの街の風景を眺めていた俺だが、ふと目に留まった姿があった。
向こう岸の砂浜で、じっと足元を見つめている少女。……間違いない、あれはキリナだ。
まだコルニが戻ってくる気配はない。少し声をかけに行くか。
ジム戦を終えてもなお体力が残っているリザードンに頼んで、俺を向こう岸まで運んでもらった。
「久しぶりだな、キリナ」
「あ……アランさん……。久しぶり、です……」
声をかけてやっと顔を上げたキリナ。そのひどくやつれたような顔と、どこか気まずそうな驚いた表情にこっちが驚いた。
「キリナ……?」
いったい何があったのかを聞き出そうとしたが、キリナは思いつめたような顔で黙り通した。
「あー……それなら、ここで何をしていたんだ?」
「……調査、です」
仕方なさそうに、キリナは声を震わせながら答えた。
「ある人から、メガシンカと時刻の関連性の調査を頼まれているんです」
メガシンカの調査というので、すぐに興味が湧いた。なかなか話してもらえないだろうとは思ったが、好奇心には勝てない。不安げな表情をするキリナには悪いが、できるだけ詳しく教えてもらうことにした。キリナも、最初こそ話していいのか迷っていたようだったが、徐々に調査について話す口ぶりが軽くなっていった。
キリナの話をまとめると、こうだ。
まず、メガストーンの発見される時刻には偏りがあるらしく、発見されやすい時間帯があると。そこからメガシンカと時刻には関連性があると考えた依頼主はキリナをここに派遣したという。
確かに、ここはメガシンカのはじまりの地と言われているし、干潮の時刻になると道ができる。なるほどな。
キリナはこのあたり一帯の地面やら鉱物やら水やらの成分を調べていたらしい。時刻による変化をみるために、夕方にもう一度調べに来るという。
「面白い研究テーマだな。時刻との関連性に気づくとは、その依頼主、なかなかやるな。一体誰なんだ?」
「……ごめんなさい、それは言えないんです」
晴れかけていたキリナの表情が再び曇った。まあそれはそうだな。そんなに易々と教えていいことじゃない。調査内容を教えてもらえたのは稀な例だ。
「いいんだ。悪かったな、強引に聞き出すようなことをして」
キリナは首を振ったが、表情は葛藤で満ち溢れていた。
「ごめんなさい、私、そろそろ行きますね」
そう言って一度は俺に背を向けたキリナだが、すぐに振り返って妙なことを言い出した。
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頂志桜(サム)(プロフ) - はじゅさん» お久しぶりです!コメントありがとうございます!逆ギレされるほど気に入ってもらえて、うれしいです(謎) でも、期末の勉強を疎かにしてはいけませんよ〜(と言っている私もテスト期間なので人のこと言えませんが……笑) お互い頑張りましょう! (2018年6月26日 22時) (レス) id: 1b8d8957f6 (このIDを非表示/違反報告)
はじゅ - おかげで期末全然勉強できません!!(こんなに面白い作品をありがとうございます神様) (2018年6月26日 20時) (レス) id: 26f7e5e552 (このIDを非表示/違反報告)
はじゅ - お久しぶりです!もういつまで経ってもなんでこんなに面白いんですか!!(謎の逆ギレ (2018年6月26日 20時) (レス) id: 26f7e5e552 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 深雪さん» コメントありがとうございます!そして、お誕生日おめでとうございます!!実は、このシリーズも今日が誕生日なんです!感慨深いですね〜 (2018年6月12日 21時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
深雪 - きょうはわたしのたんじょうび (2018年6月12日 12時) (レス) id: eec2ec89e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2018年6月9日 15時