11 ページ13
(you-side)
次の日、事務所を訪れた私は社長と2人きりで向かい合って座っていた。
社「もう察しはついていると思うが……君を昨日いたメンバーのグループ、AAAに迎え入れたいと考えている」
「…AAAとは、どういうグループなんですか?」
社「目指しているのはスーパーパフォーマンスグループ。歌やダンスは勿論、様々な活動をマルチにこなしてほしいと思っている」
「っ無理です。私、ダンスなんてやったことないし、歌とギターと、あとピアノくらいしか…」
多種多様な活動をすると聞いて、私は反射的に答えた。
歌うことしかできないのに、できっこない。
だけど社長の笑顔は崩れなくて。
社「それで構わない。実際のデビューはまだまだ先だし、何よりメンバー内に歌もダンスも完璧にこなせるやつは現時点で殆どいない。中には歌を捨ててダンスだけでオーディションに受かったやつもいるしな」
「でも…」
社「宇野が言っていた。一緒に歌うなら君がいいと」
渋る私に社長は、昨日実彩子が言っていたらしい言葉を告げる。
社「グループで活動する以上、相性は大事だ。その点、君なら全く問題ないと思ったのだが」
「……」
社「私も聴いてみたいと思ったよ。君達が心を合わせて奏でるメロディを」
思い出すのは高1の時。
音楽の授業で出席番号上、私は実彩子と男子二人とコーラスをすることになって。
‘その日’は男子が二人とも風邪で休みで、仕方なく実彩子と二人で歌ったのだ。
その時のことは私もよく覚えてる。
癖のある彼女の歌声。
感情がこもっていて、ダイレクトに伝わってくる感動。
……私には決して真似できない、実彩子だけの歌。
そんな、全く性質の異なる彼女と合わせて歌えば、感じたことのない楽しさ。
もっと。
もっと一緒に歌ってみたい。
そう思うほど実彩子との相性はよかったと。
2年たった今でも、自信をもってそう言える。
.
「わかりました。その話、お受けさせてください」
やる前から諦めるのは、実彩子の想いを裏切ることになる。
それに、私だって挑戦してみたい。
そんな想いから頷いた。
社「!…いいのか?ここから先、甘えは許さない。君には全力で、皆に追い付くつもりでレッスンを受けてもらうことになる」
「はい。ダンスはやったことないけど追い付くつもりで頑張ります」
再び頷けば、社長は満足げに笑ったのだった。
493人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
miyu - はじめまして!このお話号泣してしまいました(笑)大切な人と自分の夢…どちらを選ぶかって辛い決断ですよね。最後のほう号泣でティッシュひと箱なくなりました(笑)これから続編を見たいと思います! (2020年9月24日 20時) (レス) id: 522229740f (このIDを非表示/違反報告)
夏目海(プロフ) - はづこ。さん» ありがとうございます!できれば今週中には続編を作りたいと思っておりますので、今暫くお待ちいただければ幸いですm(__)m (2018年2月14日 23時) (レス) id: fc74eeea72 (このIDを非表示/違反報告)
はづこ。(プロフ) - とても楽しみにしてます!頑張ってください!(*⌒▽⌒*) (2018年2月14日 15時) (レス) id: 8b66f080ab (このIDを非表示/違反報告)
夏目海(プロフ) - あかりんごさん» ありがとうございます!ヒロインとAAAの物語はまだまだ長くなる予定なのでお付き合い頂けると幸いです!今夜もこの後更新予定ですので、暫しお待ちくださいm(__)m (2018年2月5日 17時) (レス) id: fc74eeea72 (このIDを非表示/違反報告)
あかりんご(プロフ) - 毎回更新を楽しみにしてます!続きが気になる終わり方…!!!!!これからひろいんとAAAがどうなっていくのか楽しみです!応援しています! (2018年2月4日 21時) (レス) id: b2fbf946ee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:海 | 作成日時:2018年1月5日 13時