episode55:日常 ページ7
『二人とも…、大丈夫ですか?』
「うん」
「ああ」
『よかった…早くトーカちゃんたちのところへ急ぎましょう。』
「そうだな」
河原に向かうと立っている二人の側に倒れている人が見えた。
そうか…勝ったんだね…
トーカはひどいけがを負っていたが、ヒナミが助けたのだろう、四方におぶられたヒナミの背中に服の穴ができていることから何となく想像できた。
ポツリとヒナミが呟く。
「私、生きてていいのかな?」
『当たり前じゃん、私ヒナミがいなくなったら寂しいよ』
「…あの時リョーコさんは、生きてって言ったんだと思うよ」
「…うん」
四人が歩く夜道には冷たい風が吹き下ろしていた。冬はもうすぐだ。
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お店で店長からヒナミがトーカの家に移ったと聞いたので、カネキと一緒にトーカの家の前で待つことにした。
「あ…おかえり」
「ほおーアンタにそういう趣味があったとはね」
『クスクス そうだよ、トーカちゃん』
「何だよ…、ったく…」
「ヒナミーただいまー。」
「!!!おかえりトーカお姉ちゃ… あれ?カネキお兄ちゃんっ、Aお姉ちゃんもっ!」
家の主を駆け足で玄関まで迎えに行ったヒナミは思いがけない客にとても驚いたようだった。
トーカと仲良さげに話す様子は、この前のことが夢であったかのように思えるほど元気なもので、
いっそのこと全部なかったことにできれば良いのにとAはひっそりとため息をついた。
「それで、アンタたち何しにきたの?」
「えっと部屋の片付けとか大変かなって」
『私はヒナミに会いに来たー!』
カネキが家具を移動させている間、ヒナミと一緒に談笑していたところ、チャイムが鳴った。
『お客さんかな?』
二人して玄関を覗くと、トーカが隠れて。と合図してきたので急いでヒナミの部屋にさっと入った。
あ、私は隠れる必要ないんじゃ…
先程カネキから手渡された本を読み始めたヒナミに声をかけてから部屋を出る。
おっ?なんかすっごくいい匂いが…!
『え?なんで二人とも人間の食べ物食べてるの?』
「実は…トーカちゃんの友達が持ってきてくれて…」
「A、アンタも手伝って…」
『いいけど…、……!!なにこれ、めっちゃうま!!』
「どんどん食べていいからな… バタ」
『きゃーっ!?トーカちゃん!!死なないで!?』
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作者名:colorful dream | 作成日時:2018年8月10日 21時