episode51:後悔 ページ3
店長が口を開く。
「……、…笛口さんが"喰種捜査官"の手で命を奪われた。…ヒナミちゃんを庇ってのことだったそうだ」
壁に拳を打ち付けるトーカ。
「リョーコさん ……ヒナミは?」
「奥で寝かせているよ」
「…顔は?見られたんですか?」
「残念だが 対処できなかったらしい」
「なにそれ最悪じゃないですか。」
「…しばらくヒナミちゃんは『あんていく』でかくまうことにする、時期が来たら24区に移そうと思ってるよ。」
そんな店長の考えにいきり立ったトーカは、白鳩を殺せばいいとまで言い始めた。
「駄目だ "ハト"が20区で命を落とせば好戦的な喰種が存在していると見られ目をつけられる…――理解れ…トーカ」
そのあともたびたび復讐の文字を言葉にして店長に一喝されたトーカは、部屋を出ていった。
「店長…」
「我々喰種ですら捜査官を相手にすることは躊躇してしまうんだ。笛口さんの望み通りヒナミちゃんを助けられた事は何よりの救いだよ…」
「あのとき、あそこにいたのがトーカちゃんだったら…Aちゃんが怪我を負うこともリョーコさんが死ぬこともなかったのでしょうか…。」
「…自分を責めてはいけないよカネキくん。」
「僕は大丈夫です…、でもAちゃんはきっと悔やんでるはずです…。自分のせいだって。(何もできなかったのは僕の方なのに…)」
「そうだね…、でもあの子の側には四方くんがいるから」
捜査官との戦いで怪我を負った右足をかばいながら、椅子から立ちあがり、一人、部屋へと戻った。
頭の中には自分を庇って死んだリョーコの姿が何度もリピートされ、どうしようもない怒りと悲しみが湧き上がる。
『私がちゃんと後ろにも気を配っていれば…、か弱い人間なんかじゃなかったら、リョーコさんが私を守って死ぬことなんかなかったのに…!!
何が時間を稼ぐだ!私が代わりに死ねば…「それは違う」』
突然頭上から降ってきた言葉にビクッと肩を震わせ、大きく首を振った。
『リョーコさんは私が殺したも同然「リョーコさんを殺したのはお前じゃない、白鳩だ」』
ベットに寄りかかっていた自分に四方は目線を合わせるとガシとその肩をつかんだ。
「責めるなら、間に合わなかった俺を責めろ」
『そんな…蓮示さんは何も悪くない…!』
「…それはお前もだ、…無事で良かった」
抱きしめられながら言われた最後の言葉に溢れそうになる涙を必死で押し止めた。
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作者名:colorful dream | 作成日時:2018年8月10日 21時