episode50:永別 ページ2
仕掛けてきそうな白鳩の様子を見て、リョーコに一声かける。
次の瞬間、真戸と呼ばれた白髪の男のクインケが二人を襲う。
重ねたナイフで防ごうとするも反動が大きく、じりじりと後ろに追いやられていく。
『くっ…!』
クインケを抑えるナイフが頬に触れ、つぅと血が流れた。
全力を込めて弾き返すと入れ違いにもう一人の男がはぁっ!と声をあげ、ハンマーのようなクインケで頭をかち割ろうとしてきた。
『っ…あっぶな!』
「ちっ!」
紙一重でそれを避ける。
続く数連打も見切ってしまえば避けるのは簡単なことで、喰種の赫子さえも止まって見えたAなら、難なくこなせることだった。
それゆえに…、油断してしまった。甘く見ていた。
彼ら捜査官が喰種より劣った身体能力を何で補うかを。
「死ねぇ、クズが!」
その言葉と共に突きつけられたのは、非情にも悲しい事実で、
若い男の捜査官に全意識が持ってかれていたAの後ろに回り込んだ白鳩は、疲れきったリョーコと、クインケを避けていたせいで防御も回避も出来ないAに死の宣告をした。
そっと呟いた謝罪の言葉は雨に溶けた。
ぎゅっと目を閉じると、束の間体に触れる手の温もりと体を襲う衝撃波。
それと共に数m飛ばされたがそれでも生きていたのは…、
『リョーコさん…』
彼女が身をていして自分を守ったんだということを気づくのにあまり時間はかからなかった。
『そんな…私のせいで…、う、うわぁぁぁああー!!!』
「喰種風情で仲間をかばうなんぞヘドが出る…、お前もすぐあちら側へ送ってやる…!…誰だ!」
バチバチっと電撃が走り、ビルの屋上から黒いマスクを着けた喰種が降りてきた。
「新手の喰種…、Sランクに届くか…、おや?」
その喰種は、二度目の攻撃のあと、頭部を失い動かなくなったリョーコはそのまま、泣き叫ぶAを抱え、建物の壁を駆け上がり、消えた。
「仲間を助けにきたか…、まぁいい、目的は達成できた…。亜門くん、本部に連絡を。」
「はい、真戸さん」
「…それにしても…、カラスとハトか…。」
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次の日、あんていくで皆が集まった。
トーカが学校から帰ってくるまで待つ皆の顔は暗い表情をしていた。
下からドアが開く音が聞こえ、少したって店長とトーカが部屋に入ってくる。
「四方さんまで…、…何があったんですか」
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作者名:colorful dream | 作成日時:2018年8月10日 21時