世間は勇者の目を見るか？ (ページ8)

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世間体ページ8

｢…まぁ、そうなるわな｣

スマホ片手にため息をつく東矢。

23歳となり、すっかりベテランヒーローとなった彼は、毎月行われるヒーローランキングに掲載されている。

…まぁ、結果はお察しである。

｢…今月はワースト4位か…まぁまぁだな｣

この結果となったのは、東矢自身のスタイルに問題がある…ようだ。

｢怪人だからって勧誘しちゃダメとかないだろ…｣

東矢は、相手の立場に関係なく接する。
だからこそ、怪人相手でも救おうとするし、実際数多くを人として生きられるようにしてきた。

しかし、世間としては怪人=悪である。
市民を傷つけ、建物を破壊する怪人は世間一般からすれば危険を運んでくる絶対悪同然である。

だからこそ、そんな怪人を助けようとする東矢は市民からは異常そのものかつ、完全利敵行為を行う害悪にしか映らない。

だからこそ、東矢は人気が極端に低い。

このランキングはかなり変動が早く、そもそも知名度のない者であったりやや態度の悪い程度であればある程度防衛で活躍するだけで順位が大きく上がる。
上位陣はかなりの激戦区だが、最下位争いは意外と大抵決まったメンバーが揃っている。

見た目がとにかく怪しいからという理由だけで順位の低いシャイニーだとか、ひたすら態度の悪すぎて定期的に暴行事件を起こすブラッドだとか、引きこもり体質で中身サイコ説が浮上中のクローバーオレンジだとか、その辺である。

…割と理不尽な理由だけでこんな順位のヒーローもかなり多いのだ。

…まぁ、東矢にはもう一つ理由があったりするのだが。

｢…っと、出たのか｣

怪人出没を示す警報が鳴り、どこに現れたのかの放送がなされる。

｢よっ…と、よし｣

即座に起き上がり、浮遊して事務所を飛び出していく。
東矢以外にまだ誰もいない事務所はずっとがら空きのままなのだ。

空を滑空し、現場へと急行する東矢だった。