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少年 ページ28

「……んで、だ」

傷付いた体に処置を受けながら、東矢は少年に話しかけた。

「お前、何でわざわざ来たんだ?」
「え、何でって……」

わざわざ彼が自分を助ける理由なんて、あまり思い当たらない。
そうして問い掛けて、暫く待った末に、やや迷いながらも彼は口を開いた。

「えーと……俺がそうしたいと思ったから、かな……?」
「……?」
「ほ、ほら! なんか無性に勉強しなきゃなって思うことあるだろ!? あれだよあれ!」

少し恥ずかしそうにする彼の言葉が、東矢の中で何かと共鳴する。

「……そうだな。その気持ち、よーくわかる」
「ん……?」
「取り敢えず、ありがとな。助かった」
「いや、そんな……!」
「草薙さんは無理しないでください」
「悪かったって……」

頬を膨らます奏乃にどこか申し訳ない気持ちを募らせるが、ふと思い出したように美冬が問いかけた。

「あー東矢、こん子誰なん? 東矢の知り合い?」
「あ、そうだった……まだ名前訊いてなかったんだ」

あの時も気絶していたのとそれどころじゃなかったため訊きそびれていたのだ。

「あ、俺は盛岡龍騎……盛岡努と盛岡苑子の子、です」
「あー盛岡さんとこのか! 道理で見覚えあった訳や!」

やっと気付いたらしい美冬、その脳内で、一人の警察官、そしてヒーロー科に勤める医者の顔が浮かぶ。

「いつもお世話になっとる相手やなぁ」
「父ちゃんは俺のヒーローなんだ!」
「……そうだね」

あの日も、周囲の人間を出来る限り避難させた上で単身救出の為に危険を承知で動いていた彼は、確かにヒーローらしい精神をしているのだろう。

「……そうだ! 一個言いたいことあったんだ!」

突然龍騎が思い出したように東矢を見る。

「何だ?」
「っ……」

龍騎を見下ろす東矢は酷く大きく見える。
緊張を押さえ、口を開いた。

「俺を弟子にしてください!」

ぽかんと、暫く固まる東矢であった。

師匠?→←その爪を剥け



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設定タグ:勇者 , ヒーロー   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 x他1人 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2023年3月8日 14時

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