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虚ろな光 ページ13

魔法の光を怪人目掛けて放つ。

でも、その光も大して効果を成さず、怪人の持つ鋭い爪が振り払われた。

「っ、くぅっ…!」

咄嗟に私の持つ大きなハンマーの柄で受ける。
何とか防御は出来たが、反撃ができない。

反撃したくても私には出来ないのだ。

こんな狭いところでは、大きく豪快に戦うハンマーは扱えない。
周囲にどれだけの被害が出てしまうのかなんて、想像したくもない。

「ううっ…!何でこんなとこで…!」

また怪人が爪を振り上げて、次々と攻撃を繰り出してくる。
鈍重なハンマーじゃその高速で放たれる連撃を防ぎきれない。

「うっ、く…あっ…!」

弾かれた。
軽くとも勢いと力のある爪の攻撃で、ハンマーが遠くに飛ばされてしまった。

まずい。
武器がない。

「あ…そんな…」

死ぬ…死んじゃう…
お母さんを、助けたいのにっ…!

迫り来る明確な死の恐怖に、必死に手を突き出して意味もない魔法を連発することしか出来ない。

「いーい顔するなぁ?もっとその顔みせてくれよ、最ッ高に怯えてるその顔をよお!」
「嫌っ…!」

何も出来ない。
死ぬ。

「だ、誰か…助けて…!」

思わず弱音を吐いてしまった。
私は曲がりなりにも“魔法少女”なのに…

しかし、こんな人目のつかない路地裏で、こんな蚊の鳴くような声を上げても誰も来る筈もない。

それを知っているのか、目の前の男はその度に意地悪い笑みを浮かべて言い放った。

「誰も来ませんねぇーwwwいやー楽しかった!久々に女の子いじめちゃったなぁ…wあーでも、そろそろ飽きちゃったかな」
「…!」

その爪を構え、少しずつ私に近づいてくる…!

「いや…たすけ…だ…だれか…!」

怖い…
とにかく怖い…
絶対、この後には死んでしまっている…!

それだけは、絶対嫌だ…

でも、どうすることも出来ない。

振り上げられた爪を前に、私は恐怖で目を瞑ることしかできなかった。

偽りの世界に差した、一筋の光→←救済の手



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設定タグ:勇者 , ヒーロー   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 x他1人 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2023年3月8日 14時

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