吸血鬼の戦う理由 ページ20
｢ごちそうさまでしたっと…｣
ｈ何とか食事を済ませ、席を立つ。
その後特にやることも無く、ぶらぶらと魔王城の内部を歩き回っていた。
｢…あ、アンタ例の勇者サマじゃないの｣
そう言って声をかけてきたのは、吸血鬼であるワイド。
定期的に他幹部をも襲い、魔王の手を焼く我儘な女性だ。
｢ん、あぁワイドか。どうした｣
｢アンタ皆に動機とか訊いて回ってるみたいじゃないの。何様のつもり？｣
高圧的な態度で問いただしてくる彼女に、しかし物怖じせずに東矢は返す。
｢いや、ただ俺が知りたいだけだ。俺がやるべきことは何なのか…お前ら幹部とかに訊いてみれば色々考えられるんじゃないかと思ってな｣
｢…はぁ。難儀なものねぇ人間っていう種族は…｣
肩を竦め、溜息を吐く彼女は明らかに人間という種を見下している。
｢…あぁそうね、悪く言ってる訳じゃないわ。変なしがらみが多くて私は嫌なのよ｣
｢そうか…それで、聞かせてくれるのか？｣
｢…しょうがないわね…｣
やれやれだと言わんばかりの気怠さを押し出しながらも、簡素に答える。
｢私の好きな人間を守りたいから、それだけよ｣
｢…へぇ、恋人か｣
｢そうなるわね…本当なら今すぐ眷属にしてあげたいのだけれど…｣
話している間にも苛立ってきたのか持っていた輸血パックを一気に吸い、話を続ける。
｢私の血に適合してくれるかわからないのよね。だから死なせたくはないし…かといって私みたいな吸血鬼と人間のまま関わらせておいたらどうなるかなんて、想像が軽くできるもの｣
心底嫌そうな表情をするワイド。
やっぱり新鮮な物の方が遥かに美味しいと愚痴る彼女に対し、東矢は再び考え込む。
｢…恋人…家族…調和…種族間…そして、純粋な興味、か｣
｢…あっそ、聞く気がないなら一人でずっと考えとけばいいのよ｣
暫く考え込む彼に興味をなくしたのか、ワイドは一人踵を返して去っていくのだった。
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クロロフィル＠リーフィア狂/あるりーす(プロフ) - 朱欄さん» ありがとうございます！これからも更新頑張りますね！ (2023年1月14日 20時) (
レス) id: c1253398fc (このIDを非表示/違反報告)
朱欄(プロフ) - Banana is Kami(作品最高です!キャラデザがすごく好きです!特にワイドちゃんがかわいい←あ、星押しときますn(() (2023年1月14日 20時) (レス) @page3 id: efb6a7397d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ：http
作成日時：2022年12月29日 21時
