番外編1 ページ22
・
「花鈴。」
秀明、授業後。
三谷Bのあるクラスから階段を下っていると、
和典に呼び止められた。
「和典、どしたの。」
「こないだのお礼、させてくんね?」
このあいだ。
きっとそれは、岩代高原に行ったときの、だろう。
「別に、いいよ?」
あれは、私が行きたかっただけだし。
「いや、俺がしたいから。」
そんなに、大したことはしてない。
それでも…してくれるの?
「嫌、なのか。」
「じゃあ…いい?」
私が軽く微笑むと、和典も微かに笑った。
「ん。じゃ、帰るか。」
当然のように、誘ってくれる和典。
「うん。」
結局私は…和典の隣にいたいだけ。
けれど、この気持ちが“恋”と知ったのは、
極々最近のこと、だったりする。
・
「あー行きたいところとか、ある?」
「特には、ないけど…」
2人きりの帰路。
道路に均等にある蛍光灯が、
並んで歩く2人の影をつくる。
「遊園地…かな。」
「…遊園地?」
よほど驚いたのか、
和典は私の言葉を聞き返す。
あ、子供っぽいって思われたかも!!
「和典、私別に、どこでも良いけど…」
「…行くか。」
「え?」
思わず見上げた和典の顔。
白い光に照らされた彼の目の端は、
ほんのりと赤い。
「…遊園地。行くか。」
もう一度、和典が言う。
「はい。…お願いします。」
動揺しすぎて敬語になった私を、
和典はおかしそうに見つめた。
「お前、大丈夫か?」
大丈夫だよ、と、答えようとしたとき。
和典の手が、私の顔に伸びてきた。
「ん、大丈夫だな。」
額から通じる、彼の温度。
すぐに離れたそれは、私の体温を上げるのに、
十分なものだった。
「…っ」
「ん?」
「いやっ、なんでもないから!!」
慌てて顔を両手で覆う。
「そ、か。あ、着いたぜ。」
「ん。送ってくれてありがと。」
「当然だろ。…じゃな。」
ヒラヒラと手を振り、颯爽と立ち去る和典。
その後ろ姿に、
なぜか、無性に泣きたくなった。
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エイミー - 杏花莉さん» 「消えた美少女は知っている」にアクセスが許可できません・・・ということなので、ログインしていないものから返信させて頂きます・・・。伝わりましたか!良かったです♪私も上杉くん大好きです!コメントありがとうございました! (2016年12月26日 9時) (レス) id: 6aadb72d51 (このIDを非表示/違反報告)
エイミー - なーさん» 「消えた美少女は知っている」にアクセスが許可できません・・・ということなので、ログインしていないものから返信させて頂きます・・・。ありがとうございます!頑張ります♪ (2016年12月26日 9時) (レス) id: 6aadb72d51 (このIDを非表示/違反報告)
杏花莉 - 花鈴ちゃんの切ない気持ちがこっちにまで伝わってきました!番外編で上杉君と両想いになれたときはホッとしました!ちなみに私は上杉君推しです! (2016年8月3日 0時) (レス) id: 154f442b08 (このIDを非表示/違反報告)
なー - とても面白かったです!これからも頑張って下さい!絶対見ます(*^^*ゞ (2016年6月21日 21時) (レス) id: 20b5ed2b90 (このIDを非表示/違反報告)
エイミー(プロフ) - えいみさん、ありがとうございます☆KZ、面白いですよね♪私は俄然、上杉くん押しです(笑)これからよろしくお願いします! (2015年12月30日 13時) (レス) id: c472ba4c17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エイミー x他1人 | 作成日時:2015年12月7日 22時