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魔法65「本当の奇跡」 ページ28

ランスside



目が覚めるとまた別の場所にいた

今度はさっきとは違い
あたりが淡い光に満ちた異空間だ



ラ「…どうなって」



キュゥ『A…これで君の人生は
始まりも終わりもなくなった

この世界に生きた証もその記憶も
もうどこにも残されていない』



キュゥべえがまた語り始めた
だけどこれは俺だけにではない

Aにも語りかけている



ラ「ちょっと待てよ!…なんだよそれ
これがAの望んだ結末だって言うのか?
冗談じゃない!!


これじゃあ…死ぬよりもっと酷いじゃないか!」







そうだ…俺はこんなことのために今まで
頑張って来たんじゃない!

Aとまた笑って欲しいから
ずっと一緒にいたいから…

そのために頑張ってきたのに

Aのことを忘れるなんて



ラ「こんなの…あんまりだ…」


ギュッ

「違うよランスくん」


ラ「……A?」



どこからか急に現れたAが
俺を優しく抱きしめた



「今の私はね過去と未来の全てが見えるの
かつてあったかもしれないことも
これから起こるかもしれないことも全部…」



ラ「…過去と未来…」



「だからね全部わかったよ

いくつもの時間でランスくんが
私のために頑張ってくれたこと

傷ついて、ボロボロになってもそれでも
私のために……ありがとうランスくん」



ラ「……だからってお前はこのまま
帰る場所もなくなって

大好きな人達とも離れ離れになって…

こんな場所に独りぼっちで
永遠に取り残されるって言うのか?」



「…独りぼっちじゃないよ
みんないつまでも私と一緒だよ?

これからの私はねいつでもどこにでもいるの

だから見えなくても私は
ランスくんの側にいるよ?」



ラ「…だけど俺はAのこと忘れるんだぞ?
Aのこともう二度と感じ取ることさえ
出来なくなるんだぞ?」


「…ううん諦めるのはまだ早いよ」



シュルルッ


Aは髪を結んでいた
赤いリボンを解く



「だって魔法少女は夢と希望を叶えるんだから
…きっとほんの少しなら
本当の奇跡があるかもしれない…そうでしょ?」



そう言ってリボンを俺に渡す



「ランスくんはこんな所まで
ついてきてくれたんだもの

だから元の世界に戻っても
もしかしたら私の事忘れずにいてくれるかも」



どんどんAが離れていく
俺もどんどん意識がぼやけていく




「…大丈夫…きっと大丈夫
信じようよ」





待って…行かないでくれ
A…!!!


俺はそこで意識を失った

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作者名:ミルト* | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年7月24日 17時

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