この巫戯けた素晴らしき世界は誰が為に在る？【文豪ストレイドッグス】 (ページ6)

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肆ページ6

─Aside─

疑っている。私の正体を知ろうと、情報員や諜報員迄が動き出している。無理はないと思うが、然し思っていたよりも、気付かれるのが早かった。流石はポートマフィアと言った所か。

私は人間じゃない。化物という類いに当てはまらない事もないとも云える。

けれど其の事を知る者は存在しない。誰一人として。何故なら私が消したから。知られないよう、一人残らず。

だから事実を知っているのは、本人である私だけ。

此処の彼彼女らもきっと、今迄の人間と同じ様になるだろうし。

『うつくし姫』──あの童話は、事実譚なのだから。

しかしまぁ、そう遠くない未来で、全てに気付くだろう。あの鴎外(おとこ)はとても賢く、聡い。いずれは事の顛末を知り、そして私をどうにかする筈だ。

そう云う存在なのだから。私は産まれてきたその日から、そう云う定めだったのだろうから。

「A幹部、首領が御呼びです」

部下の一人が淡々と告げる。

嗚呼

遠くない未来、なんてものじゃなかったか。

どうやら、もう終幕の様だ。

どうやら、漸く(・・)終幕の様だ。

嘆く様に息を吐き、腰を上げる。

黒髪が揺れる。