愛されたい気持ちは知っている

黒い色 ページ10

「今日、集合をかけたのは、互いの趣味について、話すためだ！」

若武が活気よく言った。



「まずは、上杉からだ！」


みんなが、個人の趣味について話す中、私はボーッとしていた。

何か話しているが、聞く耳を持たない。



すると、若武が決め台詞かのように言った。

「最後にアーヤだ！」

へ？

もう私？


いつのまにか、私の順番がきてしまった。


時が来るのは早いものだなぁ。



それにしても、何を話そう。



話さなくてもいいかな？


でも、ここで何も話さないのは、感じ悪いか。



そうだ。

私の悲しみを話そう。


もちろん、個人的な思いはふせて。



「私の今の気になっていることは、“愛”についてです。」

そう言うと、みんなはキョトンとした顔になった。


愛されてるみんなには、分からないか。




少し寂しげに笑った。

「“愛”って理不尽じゃない？
　だって、愛される人と、愛されない人がいるもの。
　
　勉強や運動ができれば愛されるけど、両方できない人は愛されない。
　すごく虚しい。」



改めて、自分の存在価値が身に染みる。

少しだけ涙が溢れそうだった。



でも、我慢する。


みんなの前で泣くもんか。

恥をかくだけ。


すると、上杉君が冷ややかな瞳で、私の心を貫いた。

「別にそうでもねーぜ？
　俺、勉強も運動もできる方だが、冷たい、とかよく言われてるからな。」


そういえば、上杉も、いろいろあったんだよね。


でも、一部の人からは愛されてるじゃない。



私は、一部の人からさえ、愛されてないのに。




でも、そんなことを言えるわけでもなく、私は笑う。

「そうだったね。たしかに、そうかもしれない。」



最終的に、この話は、途中で終わり、解散した。




誰も私の気持ちを分かってくれない。


私は一人で、嘲笑う。







意外に辛いかもしれないな。

愛されるということは→←久しぶり

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す