愛されたい気持ちは知っている

久しぶり ページ9

ゆっくり歩いていると、カフェテリアに着いた。


私以外、全員揃っていた。


当たり前か。



私はKZのみんなに近づく。


「みんな、遅くなってごめんね。久しぶり。」

偽りの笑顔で笑った。


「アーヤ！今日は、特別遅いぞ！」

若武は怒った声を荒げる。



「授業が長くなっちゃって。本当にごめんね。」

一応謝るが、これも演技。


心の中では、全くそんなこと思ってない。


走ってないもの。

遅くて当たり前でしょ？



……あれ？

私っていつのまに、悪い子になったの？



気にしなくていいか。

どうせ、考えたところで変わらないんだから。



「アーヤも謝ってるよ？早く始めようよ。」

私のフォローをしてくれる小塚君、優しいな。



昔の私なら、絶対そう思っただろう。

でも、今の私は、周りのことを考えている余裕はない。



「仕方ない。今回集めた理由は、近侍報告ではない！事件だ！」

若武が胸を張って言った。


その時の若武は、眩しい気がした。


自分の力で光っているような。

自分の強い思いで光っているような。


そう、私と正反対。


若武が光なら、私は闇。


いいな。

若武みたいに、私も生まれたかった。


愛されたかった。




私は心の中で、叫ぶ。






“私を愛してよ”





どうせ、そんなことを思ったところで、何も変わらないことは知っている。


でも、心で叫んだら、何か変わる気がした。



少しでもすがりたいんだ。

この思いを軽くしたいんだ。


私って、本当にバカなのかもしれない。




でも、本当は知っていた。

心じゃなくて、この声で叫べば、何かが変わるって。

救われるって。



でも、なぜだろう。

私の心は、見て見ぬふりをする。






これこそが、本当のバカかもね。

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