１０【おそ松さん】一卵性六つ子と処方箋10【逆ハー気味】

温もりと来訪3 [十四松],迎えに行く[六つ子] ページ6

照れくさそうに笑って、また一度ぎゅ、と抱きしめられた。

「…いってらっしゃい。Aちゃん。」
「…///…はい。行ってきます。」

**


自転車で坂道をぐんぐん上がる。

教科書の重たさなんていつも以上に気にならない。

思えば恋愛経験のある成人済み男性に抱きしめられて、いってらっしゃいって言ってもらうとか。

一年前の自分が聞いたら卒倒しそうな内容だなと思いついて赤面したのは…テストが終わってからだった。



*****


「寒さも抜けない3月末ぅ〜〜！！」

そう歌いだしたくなる3月末。
松だけに。
いやぁ！寒いよね！
3月って春って感じもするんだけど、気温的には微妙。笑



「ﾌｯ…毎日がコールドデイズ…」

「確かにまだまだ寒いよね、灯油の回数は随分と減ったけど。」

「………まぁ、寒い方がネコも寄ってくるし。」

「あ”は。でも一松兄さんには年中ネコが寄ってくるけどね！！」

「や〜、でもコーデも盛れる時期だよね！！こうしてゆっくりってのも良いけどさ！」




「「「「「「っていうか来ないね！！！！！！」」」」」」




さすが俺たち六つ子。声を揃えて二階寝室の畳から立ち上がってそのまま円陣を組む。

「いや！！！来ねえな！！！？オスキーもCBTも終わったんじゃないの！！？しかも合格したっつってたよね！？」
「それどころか後期試験も終わったんじゃないのかァ…！」
「…それも乗り越えたとは言ってたけど……あー、なるほど……避けられてたり…」
「やめて一松！！お前が言うとシャレになんない！！」
「あは！！僕会っといてよかったー！」
「一人抜け駆けとかソレ僕の立ち位置だからね！！？やるよね十四松兄さん！！？」

うわあ！何この気持ち！！！苦手なやつ！俺がスゲー苦手なやつー！！

「くっ…！」

こうしちゃあいられない！

ｶﾞﾗｯ!!

「「「「「どこ行くの！おそ松兄さん！！！」」」」」
「お"う"ま"ざん"！！」
「「「「「絶対嘘だ！！！」」」」」

ﾋﾟｼｬｯ!!

二階の寝室から一階までかけ降りてそのまま玄関へ！


「あら、おそ松、おはよう。」
「母さん！！？俺Aちゃん迎えに行ってくっから！！！！」
「まｧ…泊まりよね！？お赤飯炊いとくわ！！！！………あっ、おそ松。」


玄関から半歩出た矢先呼び止められる。


「何！今急いでんだけど！！！」
「ついでにタッパー返してもらってきてちょーだい。」
「解った解ったよ！！」

母さんへの返事もほどほどに家を飛び出した。

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