硬貨34枚 ページ35
隣に座るフロイドは、天井に視線を向けながら頭の中で計算式を組み立てていた。
何を思うでもなく、暇潰しに。
10時開店20時閉店だとして、フルタイムで10時間。
それで日給20万となると、時給にして2万マドル。
仮に日給2万だとしても、高校生にしては多い。時給2千だ。払えなくもないが正直厳しい。
そんな割のいい仕事なんかある訳がない。アズールは耳を疑った。
アズール「それは、流石に現実的とは言えません」
『そう?実際稼げてるしそんなことないと思うけどな』
ジェイド「Aさんの場合は特別でしょう?僕達でもそんな額受け取っていませんねぇ…」
『ブラックなお仕事だね〜』
Aは譲る気なんざさらさらない。
指定額を切るのであれば、自分の労力1mmたりともくれてやる気はない。
最も大事にしている時間を、そんなちっぽけな額で渡すなんてことしたくなかった。
アズール「お言葉ですが、立場を考えるべきでは?貴方は雇われる身。融通を利かせるとは言いましたが、そんな贅沢を言うのはお門違いかと」
『立場ぁ?それはこっちの台詞だねぇ…雇われてあげるって言ってんの、これぐらいは言わせてもらわなくちゃ!』
アズール「にしても、こんな額承諾できないのは承知しているでしょう?」
『そ。僕は端から身を引く気なんか無いよって話。』
フロイドから言われたときは、何手伝ってくれるんだろうと思っていたが、蓋を開けたらこれ。少し落胆してしまった。
現在Aの平日平均日給は7万程度。休日は最低でも23万。
フルタイムで雇われるのなら最低でも20万は欲しかった。じゃなきゃ時間の無駄だから。
アズール「…どうしてそこまでして貴方は、んむ、!?」
『今のは瀬戸際、ギリギリアウトだったねぇ』
ジッパーのようにアズールの口が閉じられる。
どれだけ開けようとしても不可能だった。
『僕の問題が解決するまではあの場にいた人…学園長サマも含めてね。関与できないの。視覚以外は自由に動かせない。便利でしょ〜?』
"お話終わったみたいだし帰るね!"最後の1尾を噛み砕いて、ソファの背もたれ側から抜け出す。
あぁ、
……まぁいいか、そんなにしたいならきっと連絡くれるだろうし。
これでアズールに今よりしつこく絡まれたら困るなぁ、なんて思いながらオクタヴィネル寮の鏡を抜けた。
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しお(プロフ) - 完結おめでとうございますっ作者様の作品どれも大好きです!!ほんとにどタイプです(; ;)新作も楽しみにしています!頑張ってください! (2020年8月17日 18時) (レス) id: 555d662f3a (このIDを非表示/違反報告)
ぱるこ氏(プロフ) - 完結おめでとうございます!!すっごく読んでいて楽しい作品でした!またどこかで貴方様の作品に出会えますように(^ν^) (2020年8月16日 22時) (レス) id: f3351ce51f (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - とても面白いです。この作品が更新されるのを毎日心待ちにしてます。更新大変だと思うので作者様なりのペースで頑張ってください!応援してます。 (2020年8月7日 22時) (レス) id: 9f253d2950 (このIDを非表示/違反報告)
諒(プロフ) - イライ&ナワーブさん» ご指摘ありがとうございます!お手数ですが、誤表記の話数をお教えいただけませんか? (2020年8月7日 22時) (レス) id: 20c69aa8ad (このIDを非表示/違反報告)
イライ&ナワーブ - とても面白いと言うかBL最高! (レオンではなくてレオナですよ) (2020年8月7日 21時) (レス) id: 1da65a8f09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:諒 | 作成日時:2020年8月2日 13時