04:桃色少女 ページ4
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黄瀬の手に引かれて遮断棒を潜ったはいいが、待ち構えていたのは割れんばかりの拍手。
イケメンが電車に引かれそうな女子高生を助ける。という少女漫画にありがちな風景にであった人々は、何故か感動し手を叩いていた。
まあ、それはいいんだが。
今回の計画もあえなく失敗してしまった訳だし、携帯をいじり始める影もちらほらと見えてきたので警察なんて呼ばれたらたまったもんじゃない。
ならばこの場を早く立ち去らなければ。
未だに拍手の止まないとてつもなく可笑しな雰囲気なこの場所を。
そう思えば行動は早く、キラキラ系イケメン黄瀬くんに人の目が集まってる隙にちゃっかり抜けだそうと足に力を込めた。
が、「ちょっと、アンタ何処行こうとしてんスか」囮に使った例の少年に声に呼び止められる。
「とりあえず逃げたいかもデス」
警察からも。あなたからも。
「じゃあ走って」
ぐんっと体が引っ張られて転倒しそうになる。これほどまでに顔と地面がくっつきそうになったのは初めてだ。『うえ』っと漏れた間抜けな声があまり恥ずかしく感じなかったのは、目の前を走る彼がとても楽しそうに笑っていたから。
私よりも少し大きめの手から伝わる温もりとか、顔をくしゃくしゃにして笑う彼を見て、このまま飛べそうなくらいにふわふわした気持ちになった。
『今さっきまで死のうとしてた私がなんで誰かに追われるわけでもなく走っているのだろう』そう考えると可笑しくて私も彼も笑っていた。
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殺風景な街の中を走る二人を見ていた桃色の影。
「オレンジちゃん」
懐かしい彼女の呼び名を口にした
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続く (更新停止中)
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作者名：(*4696*) | 作成日時：2015年8月20日 12時
