02:交差点 ページ2
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信号が青になり 人は一斉に歩き出す
私もその波に飲まれて踏切を渡った
ただ渡り切るのではなく中央で足を止める
誰も何も、気には止めずに歩いて行く。
カンカンカンと踏切警報が五月蠅く鳴り響き、前後の遮断棒がゆっくりと降りて私を一人にした。
遮断棒を挟んで私の目の前に立っている桃色の女性は口元に手をおいて今にも叫びそうだった
目の前で人が飛び跳ねるんだ、彼女にはトラウマを押し付けてしまうかもしれない
だからと言って辞められはしないけど。
「ごめん」
踏切警報の音で声は届かなかったかもしれないが口パクで通じたと思う。
彼女は目を見開いて何かを叫んだ
駄目だ、なんて言ってるのか分からない。
「ダメ」
「やめて」
「死なないで」
途切れ途切れに聞こえた声は叫んでいるのに何処か寂しそうに震えていた。
それは無理だよ
「ごめん」
私はこれを繰り返すしかなかった
全部1秒間に起きてることなのにすごく長いことに感じた。跳ねられるときもこんな感じでずっと痛いのかなーなんて考える時間すらあったと思う
じりじりと迫る電車が黒板を引っ掻いた時より100倍も煩い音を立てて急ブレーキした
やっぱり、怖いや
「あんた なにやってんスか!」
息を切らした少年は私の手を掴んで引いた
そっちこそ見事にフラグを回収するなバカ
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作者名:(*4696*) | 作成日時:2015年8月20日 12時