【朔間凛月】again (ページ2)

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はじまりの夜２ページ2

騒ぎ始めた二人にこれは駄目だなと割り切って、王様が持っていた紙を覗き込んだ。

「……三億の宝石？」
「あ、そうだった！リッツにはこの地図に書かれた場所に行って三億の宝石とやらを盗んできてほしい！！セナはこっちでナルはこれ、スオ～は俺と居残りだなっ！！」
「……なんでかさくんが消されそうになってるかはわかんないけど、とりあえずこの任務をこなせばいいわけぇ？」
「そうそう！流石セナは話が早い！！期限は三日！！」
「あら、おもったより猶予あるわね」
「いや、俺の場合それくらいないときついんだけど～」

ため息をついて任務の内容を見せると、二人は少し眉を顰めた。

「なんでくまくんの紙には明確な宝石の場所がかかれてないのぉ？」
「一人だけ難易度高くなってるわよ王様」
「まぁ、リッツならできるだろ！」

ほんと、簡単に言わないでほしい。だから珍しく設けられた期間が三日もあるのかと納得した。
それに屋敷全部を探せば出てくるに違いないし、三億の価値がある宝石だ。厳重に保管されているのだろう。
忍び込めば楽勝かな、と結論に至った俺は渡された紙をひらひらと振った。

「スーちゃんのためだからね～、まぁ、夜だし頑張るよ」
「頼んだぞ俺のKnights！！！」

最初と打って変わって明るく送り出そうとする王様とは対照的に、スーちゃんは顔を曇らせた。

「何もできないというのが歯痒くて仕方ありません。今回ばかりは私が動けば動くほど足手まといになりそうです……。」

紫の瞳が僅かに揺れるのを見て、俺たちは立ち止まった。

「ま、末っ子はそこで王様の面倒見ててよねぇ。簡単にこなしてくるから。今回はかさくんは足手まといなんじゃなくて、かさくんが出るまでも無いの」

「そうそう、こういう簡単な任務は任せて、スーちゃんは今にも作曲始めそうな王様を見張ってて」

「ふふ、久しぶりの仕事で私も張り切ってるのよ？なまっちゃ嫌だし、いいタイミングよね♪」

「皆さん……。」

光が戻った瞳をみて、俺たちは王様とスーちゃんに背を向けた。

knight the mission time