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「単独犯とは云っていない。犯人は新婦とその兄である君だね?実に簡単で単純だったよ」
ふっと息をついた乱歩さんがゆっくりこっちに近付いてくる。それでも会場内の全員が二人の犯人から目を逸らせないでいた。
「だって新婦には他に想い人が居るって聞いたけどそれってそのお兄さんの事でしょ?あ、お兄さんも新婦の事が好きみたいだけどね」
私の近くに居た誰かが、だからあんなに江川君を睨んで…と零した。結婚を望んでいたのは全部新郎側だけだったと言うことか。
『でも乱歩さん、そうだとしても銃なんて一般人が手に入る物じゃないですよね…?どうやってすり替えなんて』
ようやく私の目の前に来た彼は、玩具の銃の握られている私の手を取り、するりと優しく撫でた。
ひっ、と小さく声を出した私を見逃さず、その翠の瞳を光らせて意地悪に笑った。
「大企業の財閥、裏社会と繋がっているのは調査済みだよ。兄の方が手に入らなかったとしても、新婦が旦那に強請れば簡単に手に入る。なんたってぞっこんだったらしいからね」
ぐっと新婦の肩を掴むお兄さん。今まで黙りこくっていた新婦が表情を変えて口を開いた。
嗚呼嫌だ、綺麗な黒髪と赤い唇が余計ナオミちゃんに重なってしまう。
「では遺書はどう説明なさるんです。あの人は実際色んな人にジサツの話をしていたそうですが」
「そんなの遺書は本物に決まってるだろう?君は新郎が君への恋情に悩んでいる事は知ってたんだ。勿論遺書を書くほど本気で悩んでいる事をね」
彼の気持ちを利用して、この結婚を辞めるために愛し合った兄妹が彼を殺した。誰も幸せにならず
妻に失恋してしまった男と愛し合ってしまった兄妹が拗れてしまった話だった。
最後に崩れ落ちた新婦、蘭子さんとそのお兄さんのに手錠が掛けられて私達の身体は塵へと化した。
手を触られたまま。
*
「あーあ、出て来ちゃったよ。まぁなかなかだったかなポオくん。事件の内容は薄かったけどね」
「乱歩君の要望が多すぎたのである…!」
手を握ったり開いたりしながらケタケタ笑う乱歩さん。
私はというとあの悲しい二人の結末がどうにも腑に落ちなくて、谷崎くん達に見えてしまって、何処に気持ちをしまえばいいのか分からないでいた。
異様にモヤモヤする。
「……A?」
上手く笑えない私に直ぐに気が付いてか、顔を覗かれる。
本当に辞めて欲しい。それもこれも何もかも
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ゅ - 1話の太宰さんの下の方から潰された蛙の様な声がするで笑ってしまいました、笑 (2023年4月22日 14時) (レス) @page2 id: 74e0460151 (このIDを非表示/違反報告)
ふわふわありす(プロフ) - 初めまして。完結おめでとうございます!私は正直なところ今まであまり乱歩さんを意識したことがなかったのですが、この作品で沼にドボンしました……有難うございます!お疲れさまでした。 (2023年4月9日 23時) (レス) @page42 id: d368e0b18f (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - 梅原さん» わわ、嬉しいです!一緒に乱歩さんの沼にはまり落ちましょう……!! (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
よる(プロフ) - モンブランさん» わー!嬉しい!ありがとうございます💕なかなか喋らせるのに苦戦してます…笑笑 (2023年2月20日 19時) (レス) id: 05f2309d58 (このIDを非表示/違反報告)
梅原(プロフ) - アニメ見て乱歩さんいいなと思っていた時にこの小説に出会いました。久々に面白いものが読めてテンションあがりました。。。 (2023年2月20日 19時) (レス) @page32 id: ecb93650e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小榛 | 作成日時:2023年1月8日 11時