『夏が終わる音がする。』 ページ20
海の消波ブロックに座り、夕日を眺める。
少し冷たくなった風が吹いていた。
「すまない。待たせたか。」
後ろから声が聞こえたから振り向くと、
『いいや、いいんだ。作之助に会えるなら。』
彼がいた。
私が唯一笑った人。
織田「冷えるだろう?」
私は裸足で、ズボンの裾とシャツの袖を捲りあげている。
外套は置いてきた。
『これくらいで風邪引いたりしないさ。優しいな作之助は。』
織田「...?そうか?」
何処か抜けてる返事も面白くて、また小さく笑みを溢す。
『可愛いな。作之助って。』
立ち上がって側まで行けば、私よりも随分と長身な彼を下から覗く。あのもじゃ頭よりも大きいかもしれない。
織田「...俺に可愛いところなんて無いと思うが...」
『そういうところが可愛いんだ。』
自分の回りにはしょっちゅう自ら死ぬことを試みる仕事をしない奴と重力を操る毎朝手厳しい奴の二名のすぱるた上司に幼女趣味の気持ち悪い出来れば土に還ることもなく存在ごとこの世界にいた痕跡ごとひとつ残らず消えて欲しい男がいるくらいだ。癒しがない。←
ああ、でも太宰に聞いた芥川っていうあの少年は別にいいか。なんか私と同じくスパルタ、しかも精神的にもやられてるようで可哀想だ。執着的に育てるのはあまりよく思わないが、あの無駄に勘のいい男のことだ。理由があるのだろう。
まあ私を自分に従うようにもしたかったようだが、太宰との訓練のときに色々あったので諦めたようだ。←
何をしたかは教えない。太宰がなんかやってきたら中也あたりにばらそうと思う。(
織田「そういえば...これ。預かってたやつだ。」
『ああ...ありがとう。』
そう、簪。彼と会うための約束。
『あの...これ、まだ預かっててくれないか?』
織田「何でだ?」
『また次...否、その次の満月の日も毎回私にそれをここで見せてくれ。...作之助と会うための口実だ。...いいか?』
少し不安で、伏せ目気味に見上げると、頭をくしゃっと撫でられた。
織田「ああ。俺も白と話がしてみたい。」
嬉しくて、思わず笑みを浮かべた。
『私もだ。...にしても不思議な奴だな、作之助って。見ず知らずの私と話をしてくれるなんて。』
織田「話し相手が欲しかっただけでは理由になったりしないか?」
頸を少し傾げて話す男性という姿が面白くてまた笑う。
『いいや、ふふっ、私も丁度思ってた。自由が最近はきかないからな。何気なくお互いのことを気にせず話せる相手が欲しかったんだ。』
そのあとは彼と海のことについて話したりして、日がくれたら互いに別れた。
「面白い奴がいた。」→←『知ってたけど!!やっぱ黒いッ!!!』
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白い雪(プロフ) - 歩くん(声優の)の弟子になりてぇさん» 中也は母性的な皆のオカンです(( (2018年5月14日 22時) (レス) id: b06dc51979 (このIDを非表示/違反報告)
歩くん(声優の)の弟子になりてぇ - 中原様!いや!お母様! (2018年4月29日 12時) (レス) id: 03a9e9d04f (このIDを非表示/違反報告)
白い玉(プロフ) - 今私も思いました← ちなみにボイスだけのですが、ポートマフィアが温泉に行ったときは、芥川に対して存分にオカンっぷりを発揮していますよ!笑 (2018年1月28日 14時) (レス) id: b06dc51979 (このIDを非表示/違反報告)
狂夜 - 中也はオカンですね← (2018年1月28日 12時) (レス) id: f9f696dea3 (このIDを非表示/違反報告)
白い玉(プロフ) - 漆黒夜叉さん» ありがとうございます!!マフィアだと女子っぽいキャラは生き残れなさそうだなーと思った結果です(笑)すると花瓶を躊躇なく投げるキャラに← 更新頑張ります! (2018年1月25日 0時) (レス) id: b06dc51979 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白い玉 | 作成日時:2018年1月16日 13時