十六夜の巫女３

$66$ 草壁side ページ9

草壁side

昼休みに校内の見回りをしていると

｢草壁さん｣

俺を呼ぶ声に顔が緩むのを抑えて振り返る
予想道理、十六夜の姿があった

十六夜は何かの資料を腕に抱えている

｢それをどこに持って行くんだ？｣

｢図書室の資料室です｣

十六夜は様々な先生達に雑用を頼まれる
その理由は何となく分かっているのだが…

十六夜を先程図書室に案内しているなので当然十六夜が隣にいて
少し会話しながら歩いているわけで

ちらりと横を見ると
制服を規則道理に着ているが
夏服なので半袖であり白く細い腕が丸見え
リストバンドは気になる点ではあるが校則違反ではないので問題ではない

｢草壁さん？｣

十六夜は俺の視線が気になったのか
小首を傾げた
可愛い過ぎる…

発せられた声は
心地よい鈴の音の様に優しく鼓膜を振動させる

そんな頭の中を悟られぬ様に十六夜との会話に集中する

図書室に着くと待ってましたと言わんばかりに
1年の国語担当の教師が姿を現したが

俺の姿を見た途端固まり
十六夜から資料を受け取り図書室の奥へと姿を消した

大人である教師まで魅了する十六夜…

俺的には十六夜は自分が人を魅了している事を少しは自覚する必要があると思っている

そんな事を思いながら
図書室の戸を閉めると

ドガアン

凄まじい爆発音が響いた
その音がした方向は…
応接室!?

気がついた時には応接室に向かって廊下を競歩で進んでいた

途中で見つけた風紀委員に声をかけ

｢委員長！ご無事ですか！｣

委員長は何もなかったかの様に応接室の窓辺に立って居られました

｢煙幕だよ｣

応接室を見渡すと確かに
爆風で物が飛んではいるが火薬と言うよりも煙のすすの様だ

｢修理どれくらいかかる？｣

辺りを見渡し
家具の買い替えなどを考えると…

｢1週間程かと｣

｢そう…明日までに元に戻しておいて｣

委員長の言葉に背中に冷や汗が流れたが

｢分かりました…｣

分かればいいと言う様に
満足げに笑う雲雀

｢すみません…｣

遠慮がちな声に振り向くと


十六夜が居た

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