Honey【葵ゆうた】

wink５ ページ6

「あの、スッゴク素敵でした…！うまく言えないけど…」



「フフっ、ありがと！」



歌い終わり、私が感想をのべると葵先輩は無邪気に笑った。



次の瞬間。



私は思いがけないことを口走ってしまった。









「あの、また歌ってもらってもいいですか！？」









あれ？



私今何て言った？



もしかして、図々しいこと言っちゃった！？



「ご、ごめんなさいっ！無理なのは分かってるんです…」



「いいよ？」



「え？」



葵先輩はきょとんとした顔からいつもの無邪気な笑顔に戻った。



「次はアニキも連れてくるね」



「あ…いえ、迷惑じゃないですか？」



「ううん。」









「君が満足するまで、何回でも歌うよ」









うわ、なんか少女漫画みたいな言葉。



こんなの現実で言っても引かれるだけだって。



なのになんで…









私こんなにドキドキしてるんだろう。









陽太にフラれたばっかじゃん。



でも、なんだかフワフワして。



甘くとろけてしまうような感覚。



ハチミツみたいに溶けちゃいそう。



ヤバイ。



好きじゃないのに。



さっきもう好きな人なんて作らないって決めたのに。



「ダメダメ！」



私はパンパンと自分の頬を叩いた。



好きじゃない！好きじゃない！



「え、どうしたの？やっぱ迷惑？」



「いえ、お願いします！」



好きじゃないけど、でも一緒にいたい。



だから、









今だけわがままを許してほしい。

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