Honey【葵ゆうた】 (ページ4)

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「陽太、お待たせっ！」

放課後になって、私は陽太に駆け寄った。
陽太は優しく笑ってじゃ行こう、と言って歩き出した。

私は陽太のゆっくりとした歩幅に合わせて、歩く。

ふと、陽太が口を開いた。

「最近、どう？」

「えっ、別に普通だよ。あ、でもね結香が面白くって…」

私はそのまま喋り続けた。

最近楽しかったこと、嬉しかったこと…
陽太は優しい笑顔で見つめてくれた。

「あのさぁ、言いたいことあるんだけど。」

家が近付いてきた時、ふと陽太が私の言葉を遮った。
私が首をかしげて陽太を見上げると、陽太は凄く真剣な顔付きで私を見つめた。

「えっと…何？」

「応援してほしいんだ。」

「え…何を…？」

「俺、彼女出来たんだ。」

「え…」

な、に…？

彼女、って…

「嘘、でしょ…？」

「ううん、ホント。Aにも応援してほしくて」

なにそれ…。

こっちの気持ちなんて知らずに、呑気に笑って。

バカみたい。

「今日誘ってもらって、嬉しがってた私がバカみたいじゃない！」

「A…」

「触らないで…！」

パシッ

私は無我夢中で肩におかれた手を払いのけた。
そして、我に帰る。

「あ…」

「ごめんっ…！」

涙が溢れた。

私はその場から逃げるように、全速力で走り出した。

「Aっ！」

後ろで陽太の呼ぶ声がする。

でも、もういいや。

あ～あ。

私の恋、終わっちゃった。

告白も出来ずに、話しかけも出来ずに…

「…っ、私のバカっ！」

無我夢中で走っていたら、ある場所に出た。

そこはいつも落ち込んだときに来るとっておきの場所。
海岸だった。

私は砂浜に座り込み、膝を抱えた。