きづかい ページ16
そして転がってきた方を見てみると、そこには……川橋が。
何よこいつ。私の方に、わざと転がしたのかしら。このボールを。
「ごめんごめん。ありがと。………"白桜"サン。」
卑しい笑みを顔に出し、私の名を呼ぶ川橋。それを聞いた私は、瞬時に怯えた表情を作り出す。
勿論、体を少しだけ震え上がらせるのも忘れずにね。私はボールを渡すと、彼が去っていくのを待つ。
あは。ホントは怖くなんかないよ?? これぐらいでビビる私ではないの。
*
*
籠を持ち、私はそれを元の場所まで戻そうとすると…先輩マネに声をかけられた。
「はい、何でしょうか?」
そう言うと、彼女は少し小声で「あの…さっき、川橋君と喋ってたでしょ?それで、貴女が怯えてるのが見えて…。大丈夫かなって思って…。」と言った。
!さっきの光景、見てたんだね。私は目を逸らしながら、こくりと首を縦に振る。
先輩の気遣いを利用するなんて、何て奴だと思うかも分からないが…もう私は、昔の私とは違うの。
「そう…。無理しないでね。」
彼女の言葉を聞き、私はもう一度首を縦に振った。
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作者名:理依 | 作成日時:2018年3月12日 22時