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episode11 ページ11

成宮






紹「鳴ちゃん今日も良かったじゃん〜」




試合終わり


いつもの愛車



その助手席に乗ってこいつは、後ろに22の背番号の入った一也の応援ユニフォームを着ている



成「てか、おまえ今日なんで俺といんの?!」

「一也は?!」



紹「なんか沢村に説教あるから鳴ちゃんと帰っとけって言われた〜」




俺とよく似た満面の笑みの片割れ




成「まじ一也恨むんだけど」


紹「えぇ?!なんでそんなこと言うの!」




もう知らない!なんて言って、隣でぷりぷり怒ってる紹巴を無視して車を走らせる





成「……」





不意に目がいってしまう



あいつを拾った道





もう、関係ないのにな…





紹「気になるんでしょ、Aちゃんのこと」



成「別に…」






嘘……






紹巴のにまにました笑顔が気に入らなくて、興味無いフリしたけど




気になってしょうがない





ちゃんと、元気でやってんのかなって








【私は生きてても仕方ない】








齢16の女の子が口にするには





あまりにも重たすぎる言葉だった








ぼーっと、Aのことを思い出しながら、車を走らせる





目の前からは人が歩いてきた




歩道も何も無い、狭い道





車の速度を落として、ゆっくりとその人影とすれ違う






成「ッ!」





すれ違うその瞬間



ちらりと髪の隙間から見えた横顔には、見覚えがあった





思わずブレーキを踏む





紹「うわ!鳴ちゃん?!」





突然の停車に、紹巴が声を上げるけど



そんなのはどうでもよかった





バタン





思い切り閉めた車のドアが、音を立てる









成「ッ…A!」








フラフラとした足取り




今にも倒れるんじゃないかってくらい、弱々しい背中に声をかける








『な…るみや…さん?』






ゆっくり振り返ったのは、確かにあいつだった








成「どうしたのこんな時間に!どこ行こうとしてたの?!」






ナイター終わりの時間




女子高生が出歩いていい時間ではない





そして……







成「なに…その傷」









真っ白い肌に無数につけられた傷







『……会えた…ッ』




『やっと……成宮さんに会えたッ』







そう言って涙を零すAを






成「うん…大丈夫」




「もう、大丈夫だよ」









ただ、抱き締めることしかできなかった

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玲海(プロフ) - 欅千広さん» どっちも思いつきですけどね。でも優しい話にはしたかったので、伝わったのなら良かったです。ありがとうございます。 (2020年2月26日 2時) (レス) id: c35e0428ec (このIDを非表示/違反報告)
欅千広 - いちごみるく・勿忘草など読ませて頂いて、どれも人の温かさなどが伝わるお話でした。毎日、楽しみにしてます。 (2020年2月25日 22時) (レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海姫 | 作成日時:2020年2月20日 0時

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