episode26 ページ26
照りつける陽射しに目が眩む
見上げた空には雲一つない
日本一とも呼べるその腕で整備されたグラウンドに
選手たちの足跡が刻まれる
名残惜しく青道のグラウンドに別れを告げて
足を踏み入れた夢舞台
・
そのホームを守る姿
誰よりも輝いて見えた
春にはない空気が、そこにはあった
『幸せだ…』
貴方といたから観れた景色
貴方がいたから追いかけられた夢
・
『……惜しかったね』
結局準優勝で終わった夏の甲子園
もう少し、やれた
そうやって、どうしても思ってしまうけど
自分の全てをかけたと言える高校野球人生
この舞台で、貴方の隣で終えたことに悔いはない
『ありがとう一也』
御「こちらこそ、ありがとう」
ゆっくりと遠ざかるその球場を目で追う
蔦に飾られたその球場
『……そんなに泣くなよ沢村』
まだ涙の止まらない沢村
琴「A先輩ぃぃぃ」
ついでにこいつも
『まだ、終わってないよ』
沢「姉さん……ッ」
『あんたの夏はまだ、終わってないからね』
沢村だけじゃない
今日の経験も全部
これからまた夢舞台を目指す後輩たちの心に
溶けて、沁みて
貴方たちを導く光になれ
『期待してるよ…エースさま』
私も一也も、あんたがエースナンバーを背負う姿は
きっともっと先だと思ってた
それでもあんたはやってくれた
小さな経験も、大きな力に変えて
私の期待も、一也の期待も
その全てを上回ってくれた
『幸せだったよ、沢村』
御「……あぁ、俺も」
沢「姉さん…御幸先輩……俺…俺ッ」
御「ありがとな、沢村」
『がんばれよ、絶対負けんな』
そうやって、沢村を励ましたはいいものの
やっぱり、これで終わりかと思うと少し寂しくなる
ぎゅっと一也の手を握ると、優しく握り返してくれる
そっと盗み見た横顔は、悔しさを噛み締め
それでも、後悔なんて残してない
清々しい表情をしていた
ありがとう
その夢の先にいた貴方は
紛れもなく
天才捕手だったよ
…………
甲子園で泣いて終われることが幸せなんだ
って誰かが言ってたな
あの監督さんは元気にしてるだろうか
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作者名:玲海 | 作成日時:2020年2月13日 22時