新婚: ページ9
キッチンにいる彼女を見つけた。
「おはよ、A」
「おはよう、俊
今日は早いね?」
彼女は、卵焼きを作りながら味噌汁を作っていた。
手際がいい……
味噌汁の中にはあさりが……
あさり…?
「は…っ!!!!
朝はあっさ『あっさりアサリのスープでしょ?』
な、なんで分かった?!」
Aは俺の心が読めるのか…?!
驚いた俺の顔を見ると彼女は微笑み
『も〜、何年一緒にいると思ってんの!俊の考えてることなんてすぐ分かるよ(笑)』
「...(きゅん)」
不覚にもキュンとしてしまった
.
彼女は俺の幼馴染で、家が隣だった。
そのため、小学校から高校まで同じ学校に通った。
高校選びも、彼女が誠凛を選んでいなかったら、俺は違う高校に進学していただろう。
.
『それにしても早いね?何かあったの?』
「いや、なんか目が覚めちゃって」
『ふふ、そうなんだ』
そんな会話をしていると、卵焼きが完成した
それを見計らって、俺はお皿を出し、彼女に渡す。
『ありがとう、気が利くね』
「そうだろう?」
お皿に乗った卵焼きを一つ口に運ぶ
『あっ!つまみ食い!』
俺の好きな甘めの味が、口の中に広がる。
「なに、Aも味見したかった?」
俺は口に半分含んだ卵焼きを、彼女の口元へ"んっ"と突き出す。
『〜〜っ』
俺の考えてることが分かったのか、頬を赤く染め、顔を逸らす彼女。
「ほは、(ほら)」
顎で、早く食べて、と合図すると
火を止めて、ゆっくり近づき、パクリと卵焼きを口に含んだ。
「美味しい?」
俺は、残り半分を飲み込むと、彼女に言う。
『…まあ、美味しいかな』
「自画自賛じゃん」
そう言うと
『うるさい』
赤い顔で睨んでくる彼女。
「俺好みに作ってくれて嬉しいよ」
もともと、どちらかと言うと、しょっぱい卵焼きが好きだった彼女は、俺が甘めが好きと知ってから、甘い卵焼きを作ってくれるようになった。
『…まあ、旦那さんのためですから』
と、恥ずかしそうに呟く彼女。
「…かわいい」
『ちょ、ちょ、ちょっと!』
抱きしめると俺の腕の中で暴れ出す
が……
『まっ、まだ、作ってる途中なんだから、邪魔するならあっちいってて!』
とあしらわれてしまった。
「はい、、」
しょぼんとする俺を見て、彼女は
『…作り終わったらね』
恥ずかしそう、ボソリと、呟いた。
「!!!!ああ!!」
俺の機嫌が直ったのは言うまでもない。
朝食を作り終えた彼女を抱き締めた彼は、時間ギリギリまで二人の時間を堪能したそうです。
end..*
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作者名:ゆう | 作成日時:2018年6月30日 3時