新婚:Kise ページ3
"…り…く…ん"
遠くで誰かの声が聞こえる
ただ、ぼんやりとしていて分からない。
"…う…く…ん"
だが、それはだんだん近づいていて
『…りょ…くん……涼くん!』
「えあ、A…?」
寝惚けていたのか、変な声が漏れた。
あくびをして、彼女に何かあったのか尋ねる。
「ふあ……こんな朝早くからどうしたんス『お仕事遅れちゃうよ!』…え?」
『早く起きないと遅刻しちゃうよ!朝ごはん作ったから早く…「A、今日の仕事は午後からって昨日の夜言ったッスよね?」
え…?』
一瞬ぽかんとした彼女は、昨日の出来事を思い出したのか、ハッとした。
『あっ、あっ!』
言葉にならないと、口をパクパクさせると
『この間と同じ時間だとばかり思ってて…本当にごめんなさい…!』
目線を下げ申し訳なさそうに、しゅんとする彼女。
「ううん、全然
起こしてくれてありがと、A」
そう言い彼女の頭を撫でると
『涼くん…』
と抱きついてくる。
朝から可愛いことされると、辛いんスけど…
と思いながらも抱きしめ返す。
本来、起きる時間より4時間ほど早く起きてしまった
何しよっかな と考えを巡らせるが、特にやることは見つからない。
「(まだ少し眠いし、もうひと眠りするか…)」
そのまま再びベッドへ横になった。
「せっかくだから、Aもこのまま一緒に寝よ?」
『えっ?でもご飯作っちゃったよ…?」
「後で温めて食べれば大丈夫ッスよ、ほらアラームもセットしてあるし、ね?」
昨日の夜セットしておいた携帯の画面を見せる。
『寝るなら私出てくよっ!』
出ていこうとする彼女の腕をつかみ
「Aと寝たいんスよ、だめ?」
奥にずれ、彼女の入るスペースを開ける。
すると、少し眉を下げ、照れた顔の彼女は、振動を立てないよう、静かに入ってくる。
『おっ、お邪魔します…』
90人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆう | 作成日時:2018年6月30日 3時