ナポレオンに喝采を！２【あんスタ】

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「A、？」



これは、俺たちの知っているAの面影は
ない。


天真爛漫な笑顔は消え失せ、
唇だけが弧を描いている。





俺は思わずカッとした。


「Aに…何やったんだよ！！」




ぎっ、と睨みつけるとルーラはそれを鼻で笑ってあしらった。




「何もしてない。Aは僕と同じ考えだったというだけのことだ」




緊迫状態にある中、脳に刺激が走った。

そして声が脳に流れ込んでくる。




『みんな、聞いて。仁兎なずなだ』



仁兎先輩の魔種だ。

ルーラを睨みつけたまま、その声に耳を傾ける。





『合図したら、一斉にルーラに攻め込む。
とりあえずはAを取り戻す。
それと、ひなたちん』




俺？



『Aちんと1番仲良いのはひなたちんだろ？Aちんの意識を取り戻してほしい』





できるか？と脳に語りかけてくる声に
俺は答えた。





『もちろん！』


『よし！じゃあ行くぞ、どんっ！』





仁兎先輩の声で、一斉に『ユメノサキ』が
動き出した。




「愚図が何人来たところで、神には敵わない。
そうだろ？A」

「___違う！！」




こくり、とAが頷こうとする前に
俺は叫ぶ。

操られてても、そんなこと認めて欲しくないから。





「確かにお前から見れば俺たちなんて愚図かも
しれない。けど！
その愚図一人一人が支え合って、信じあえる
最高の仲間だったら！

神にだって立ち向かえる！でしょ!?A！」




ぴくっ、とAが反応する。

今反応したってことは、まだ自我は残ってる。

可能性は、ある！






「綺麗事だな。
だから魔導士は嫌なんだ。自分たちのしたことを棚に上げて正当化する。ウンザリだ」





ルーラのことにも一理ある。

だって神を滅ぼしたのは、紛れもなく
魔導士だから。





「確かに魔導士は神を滅ぼした！
だからこそ、道を間違えないように仲間が
いるんだろ！綺麗事言ってくれる仲間が必要なんだろ！

Aが憧れたナポレオンは、そんな英雄じゃなかったっていうのか？」






「う、あ…」




Aが動揺し始めた。

いける、このままなら。




そう思ったとき、ルーラが口を開く。





「騙されるな」

「！」





「だからなんだ？あいつらが俺たちにしたことは消えることはない。
俺たちの苦しみを知らずに、のうのうと
生きてきた奴らに何がわかる？」



「…いっ…！」




Aは確かに、俺とルーラの言葉の間で
苦しんでいた。








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