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探偵です。 ページ7

──次の日、午前6時28分

私は、未だ生徒が殆どいない学校の廊下を、少し大袈裟なくらい音を立て乍ら歩いていた。
目的地は校長室。

偶にすれ違う先生に挨拶をして、私は真っ直ぐと前を向いたまま歩く。
校舎は莫迦みたいに広く、教室の数も尋常ではないこの学校だが、私の足に迷いはない。



校長室の前に着き、先ずは大きく息を吸って、私は3度扉を叩いた。

すると中から、どうぞと云うくぐもった声が聞こえる。


『失礼します』


私は急ぎ足で部屋の中に入り、そのまま校長の前まで歩み出た。




「やあ、おはよう篠原君。」
『おはようございます。犯人が判りました。』

「……昨日の時点で判ったと云うのか?」

『はい。』


私の返事を聞き、校長は莫迦にしたかのように鼻で笑った。やっぱり校長(こいつ)、教師失格だろ……厭、人間失格か?



「誰だね。云ってみたまえ。」
『先ず初めに云っておきますと、犯人は内部の人間です。』


ここまで聞くと校長は眉を顰めた。漸く他人事では無いと気付いたようだ。



「……続けて。」
『更に云いますと、犯人は生徒の中に居ます。誰だか想像はつきますか?』

「いいや、さっぱりだ。早く教えなさい。」


ーーそれが人にものを頼む態度か。

少しイラッとしたが、何とか抑え込む。だって私、大人だから。




『犯人は、────さんです。今日の放課後、直接真相を確かめに行きますが、犯人の処分はどのように致しますか?』



校長は驚きすぎて声が出ないといった様子だ。太宰さんならきっと、そんな気がしたよ、とか云って薄く笑うんだろうな。因みになぜ太宰さんかと云うと、先刻から校長の喋り方が太宰さんと重なるからだ。



『確か、今回の件は公に公開しないんでしたよね。となると、私が話をして情報だけ先生や軍警に渡すことも出来ますし、先生がその生徒と直接話すことも出来ます。軍警を巻き込むことも可能ですよ。』

「……君が話を付けてくれないか。」

『了解致しました。それでは、』
「待ってくれ!」

私が踵を返して部屋から出ようとした時、校長は大きな声を出して私を止めた。


『……何ですか?』

「昨日の今日でここまで進むなんて……正直私は君のことを見下していた。解決するはずがないと、本気で思っていた。
だが君は私のそんな予想をはるかに上回り、現在に至る。更に、以前受けてもらったテストは全て満点……。
君はいったい何者なんだ!」




嗚呼、なんだ。そんなこと。

『探偵です。』

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こおりざとう(プロフ) - れたすさん» コメントありがとうございます! ここから少しずつ、事件と篠原ちゃんの過去が明らかになっていきます。お楽しみに! (2017年4月11日 17時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
れたす(プロフ) - 最後のせりふっ!続きが気になる途切れ方……更新まってます! (2017年3月26日 22時) (レス) id: c8875f112f (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 狂夜月さん» コメントありがとうございます! もう少し更新ペースを上げられるよう頑張りますね! (2017年2月26日 23時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
狂夜月(プロフ) - 面白いです!がんばってきださい! (2017年2月24日 21時) (レス) id: 0f9e6c0dce (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - みるふぃーゆ@怠惰Girl&Boyさん» コメントありがとうございます! 色々と想像しながら読んでみてください(笑) 更新頑張ります (2017年1月31日 19時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こおりざとう | 作成日時:2017年1月20日 23時

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