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送信完了 ページ6

『最後まで……、』

「最後までって云っても、最後に言葉を交わしたのが私ってだけなんだけどね。」



緋莉ちゃんは申し訳なさそうに眉尻を下げて笑った。



『その……ごめんね。』

「いや、なんで謝んのさー。」



ケラケラと楽しそうに笑う緋莉ちゃんだが、どこか寂しげに見えた。

それもそうだ。親友の死など、思い出したくないに決まっている。





「緋莉。」

「ん?」

「私ら外に出とくから。終わったら携帯(これ)に連絡ちょーだい。」

「うぃー。」

「んじゃね、A。ごゆっくりー。」





私達に気を使ったのか、放送室を出て行く3人。
扉が最後まで閉まるのを見届けた後、私は緋莉ちゃんに再び声をかけた。





『緋莉ちゃんは──』









『──……成程ね。ありがとう。』

「いいえー。これで大丈夫? もし何か有ったら、また連絡してね。」

『うん、ありがとう。』

「さて、連絡するか。」





と云うなり、緋莉ちゃんは3人に電話をかけた。
「もしもしー」と声をかける緋莉ちゃんの電話口で「電話すんなよ!」と云う声が聞こえた。






「此方戻ってくるって。」

『そうなんだ。』







それから、放送室に戻って来た3人+緋莉ちゃんと私で、お菓子を食べながら下校時間までお喋りを続けた。









帰宅後。
私は制服から部屋着へと着替え、真っ暗な部屋の中で携帯の画面に指を滑らせた。





『……簡単な依頼だった。』






画面には、【送信完了】の文字。







『最低でも1ヶ月は通う契約だっけ? 初日で終わったんだけど、後は満喫していいのかな……。』





──意外と楽しかったし。
この言葉は声には出さずそっと飲み込んだ。





直後、携帯が無機質な音を立てた。

見ると其処には、【国木田さん】の文字が。






『……もしもし、』

「俺だ。」

『云われなくても判ってますとも。』

「先程のアレは本当か。」

『当たり前でしょう?』



国木田さんが、電話の向こうでハッと息を飲んだ。




「……そうか。判った、お前の云う通りにしよう。」

『ありがとうございます。それじゃあ、』
「待て。」

『何です……?』

「学校にはきちんと行けよ。」






嗚呼、国木田さんは面白いことを云う。
私は自分の口角がクッと持ち上がるのを感じた。







『勿論。

──案外、楽しかったですから。』

探偵です。→←放送室



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こおりざとう(プロフ) - れたすさん» コメントありがとうございます! ここから少しずつ、事件と篠原ちゃんの過去が明らかになっていきます。お楽しみに! (2017年4月11日 17時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
れたす(プロフ) - 最後のせりふっ!続きが気になる途切れ方……更新まってます! (2017年3月26日 22時) (レス) id: c8875f112f (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 狂夜月さん» コメントありがとうございます! もう少し更新ペースを上げられるよう頑張りますね! (2017年2月26日 23時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
狂夜月(プロフ) - 面白いです!がんばってきださい! (2017年2月24日 21時) (レス) id: 0f9e6c0dce (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - みるふぃーゆ@怠惰Girl&Boyさん» コメントありがとうございます! 色々と想像しながら読んでみてください(笑) 更新頑張ります (2017年1月31日 19時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こおりざとう | 作成日時:2017年1月20日 23時

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