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香炉を盗む ページ11

「何のこと? A。」




こてんと首を傾げた彼女、基、室生犀星(むろうさいせい)さん。
動作に合わせて、茶色いポニーテールと桜色のリボンがはらりと揺れる。



『まだとぼけるの?
ジサツ者が続けて出ている事件……犯人は貴女でしょ?』




私の言葉に、室生さんは「嗚呼、成程」と小さく呟いた。
そして、心底愉しそうに唇の端をグッと吊り上げて、ニィッと笑う。



「ねえ、どうしてそう思うの?」

『知ってるから。』

「あっそ……もし犯人が私だったら、どうする?」

『相応の処罰を受けてもらうよ。』



クツクツと笑う室生さんは、そのままフェンスの傍までゆっくりと歩いて行った。
飛び降りるといった様子も見受けられなかったので、私は特に止める訳もなく眺めていた。

ガシャンとフェンスに背中を預けた室生さんは、光の無い目で怪しく笑う。



「Aさぁ……殺してあげよっか?」

『無理だよ。』

「……はっ? 厭、あんた何? 私には無理だって云うの?」

『そう、無理。』




私の言葉に怒った室生さん。ギンっと鋭い眼光で睨みつけてくる姿は、まるで獣の様だった。




「後悔させてやるよ! 私の異能でね!」

『だから無理だって。』



ーー貴女では私を殺せないの。



室生犀星(むろうさいせい)。異能力【香炉を盗む】
相互が友人であると認識した時にのみ、相手を操ることが出来る。素敵だね。』


私が淡々と告げる度、室生さんは徐々に顔を青くさせていく。




『今までのジサツ者は全て貴女の仕業。操って殺したんでしょ? ジサツに見せかけてね。
だからね。貴女では私を殺せないの。』

「……ま、真逆っ!」

『そう……私は貴女を友達だなんて思っていない。故に異能は通じない。』




今度は私が笑ってやる。
すると室生さんは諦めたのか、その場にペタリと座り込んでしまった。



「A……あんた何者?」

『……探偵だよ。武装探偵社って聞いたことない?』

「武装……探偵社。そう……私はどうなるの?」



室生さんはすっかり諦めきった目で私に問う。よほど異能を信頼していたのだろう。だからこそ、自分の力が通用しない時のショックは大きい。

私は事前に連絡し、許可をいただいた作戦に出た。



『……異能特務課っていうところがある。貴女には卒業後、そこで働いてほしい。』

「何それ……。」

『勿論、卒業する迄は、アルバイトという形で貢献してほしいの。どう?』

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こおりざとう(プロフ) - れたすさん» コメントありがとうございます! ここから少しずつ、事件と篠原ちゃんの過去が明らかになっていきます。お楽しみに! (2017年4月11日 17時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
れたす(プロフ) - 最後のせりふっ!続きが気になる途切れ方……更新まってます! (2017年3月26日 22時) (レス) id: c8875f112f (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 狂夜月さん» コメントありがとうございます! もう少し更新ペースを上げられるよう頑張りますね! (2017年2月26日 23時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
狂夜月(プロフ) - 面白いです!がんばってきださい! (2017年2月24日 21時) (レス) id: 0f9e6c0dce (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - みるふぃーゆ@怠惰Girl&Boyさん» コメントありがとうございます! 色々と想像しながら読んでみてください(笑) 更新頑張ります (2017年1月31日 19時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こおりざとう | 作成日時:2017年1月20日 23時

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