夢でもいいから(そらる) ページ22
微睡みのなか目が覚める。ベットの上から見渡すと、いつもと変わらない光景。だけど、隣にあったはずの温もりは消えていた。
A「……あーあ。終わっちゃった。」
彼の浮気を知ったのは、ちょうど半年頃だったのだろうか。知らない女の子と肩を並べて、仲睦まじく歩いていた。
そこから、彼との距離を置くようになり、今日起きてみたら彼がこの家からいなくなっていたのだ。
荷物は置いたまま。彼だけ空気のようにふわっと消えていた。
A「……涙が出てこない」
涙さえ出てきてくれれば、この悲しみも一緒に流してくれるのに。
ベットから起き上がって、リビングの机に置き手紙を発見した。
今日は、友達の家に泊まる。
その手紙を一瞥した後、ゴミ箱に投げ入れる。
もう別れてしまおう。そう決心を固め、毎朝のコーヒーを飲むために準備を始めた。
コーヒーを飲み、軽めの朝ごはんを食べる。
久しぶりに着るワンピースを取り出し、メイクをする。そして、自分のものは最低限のものをカバンに詰め込み、大きい荷物は後で持って帰ることにしよう。
自分のものをあらかたダンボールに詰め、カバンを持って玄関前で部屋を見渡す。
自分の痕跡などというのは残ってはいない。
彼と別れたら、あのこと付き合って私と暮らしていたこの部屋に住むのだろうか。
そう思うと、涙が込み上げてきた。せっかくしたメイクを崩すわけには行けないのでこらえた。
部屋には誰にもいないのに、自然と口から言葉が漏れだしていた。
「さよなら」
ぐるっと振り返り、部屋から1歩出ていった。
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味付けのり(プロフ) - りこさん» きゃー!!コメント気づいてなかったです!ごめんなさい……。更新頑張ります!!! (2020年2月4日 15時) (レス) id: e8088cc444 (このIDを非表示/違反報告)
りこ(プロフ) - あけましておめでとうございます!更新がんばってください! (2020年1月1日 11時) (レス) id: a25fb80203 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:味付けのり | 作成日時:2019年7月24日 22時