拾弐＊へし切長谷部２ ページ13
紹介された長谷部という刀は、感情のない瞳で私を見つめたあと、ニコリと微笑んだ。
「ああ、新しい主でいらっしゃいましたか。俺はへし切長谷部。主命とあらば、何でもこなしますよ」
「へ…それは凄いですね……」
若干怖いけど、悪い刀じゃない…？
出会い頭に刀は抜かなかったし。
いや、だからといって加州が悪いわけじゃないけども。
「政府からの書類ですか？手伝いましょう」
「え！？いや、いいですよ！これは私の仕事なので」
流れる動作で部屋に入って私の傍にあった書類を自分の元へ寄せ付けた。
この人…主命じゃなくても何でもするんじゃないか！！
「主の仕事は俺の仕事です」
「貴方の仕事は別にあるでしょう！！」
「いえいえ、これも俺の仕事なので」
「いやいやいや！！甘やかさないでください！」
こんなやり取りをしながら書類を引っ張り合う。
「審神者様、長谷部殿、書類が破れます」
こんのすけの冷ややかな一言で同時に手を離した。
お互いに落ち着いたあと、長谷部さんはテーブルの下から書類を取った。
「は、働き者ですね…」
「いえ、主の仕事を手伝うことが俺の幸福ですから」
そこで、書類を持つ彼の手が視界に入った。
働きすぎた人の手で、ボロボロだった。
この刀も手入れをするべき刀なんだろうと思った私は、名案が浮かんだ。
「長谷部さん、主命なら何でもするんですよね？」
「っ…！……ええ、何なりと」
何故か顔が引きつっている。
こんのすけは私を見上げて心配そうな顔をしていた。
そのことが少し引っかかるものの、私は続けた。
「では主命です。手入れさせてください」
「………はい？」
「さ、審神者様……」
目を見開く長谷部と、どこか安心したこんのすけ。
「主命ですよ！さあ！手入れ部屋へ！！さあ！！」
立ち上がって長谷部さんの腕を引っ張ると、長谷部さんは訳が分からないといった顔をしている。
「あ、あの…主？それは主命ですか？？」
「え、間違いなく主命……あ、主命って命令でしたね。手入れさせなさい！」
「そういうことでは……」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 51人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ヒタリ | 作成日時：2018年8月28日 23時
