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「月貴とは、高校生の時知り合いました。

私と月貴は意気投合し、よく一緒に行動するようになりました

アイツは、私が困窮している時や挫折しそうな時

いつも私に手を差し伸べてくれた

…親友、だと思っていました


けれど

ある日


私が本当に打ちのめされ、いっそのこと死んでしまいたいと思った時

いつものように手を差し伸べてくれた月貴に、心無い言葉をぶつけてしまった

自分の中に溜まった鬱憤を晴らしたい一心で

それでも、アイツは…

私は親友だと思っていた
けれど…」



どこか影のある口調
どうしてこんなに苛立っているのだろうか

いつからこんなに欲深い人間になったのだろう



「…少し、聞き過ぎたようだ。許してください」

「…いえ」

「それで?」



喉の奥から這い出る冷たい声
隠しようのない敵意



「君は、今更彼と会って、何をしようというのですか」



今更だ
今更どうしようったって、彼を傷つけた
その事実が無条件に私を病ませる

それでも、目の前に立つ男は
腹を括ったように、意志の宿った瞳を揺るがせないものだから

私は、不安だ



「それ以来、月貴とは会っていませんでした…警察官になって、整理をつけられた
ずっと、探していたんです
もう一度会って話したい

アイツはいつでも俺のことを考えていてくれた。だから」



どうしたらいい



「私は、月貴と友人でありたい」



耳を塞ぎたくなる
目を背けたい
月貴、月貴と煩い
狂いそうだ



「…君の意志は理解した。けれど、聞かなかったことにしよう。それを私の口から彼に伝えるのはお門違いだからね」



言い残し
去ろうとすると、呼び止められる

寂雷は早くその場を離れたかった
自分でも言いようのない、行き場のない感情を銃兎にぶつける前に



「これを月貴に、お願いできませんか」



そう言って渡されたのは、二つ折りになった紙
何が書いてあるのかは、透けて見えてしまった

連絡先

誰のものかは言わずもがな
寂雷は一瞬躊躇ったが、黙って受け取った

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Last(プロフ) - いおさん» ありがとうございます。詩的な表現に気を遣っていたのですが、そう言っていただけてとてもうれしいです。完結までよろしくお願いします。 (2019年6月1日 21時) (レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - 素晴らしすぎる作品ですね…!続きが気になり過ぎて堪らないです!!文章も綺麗で、何から何まで素敵な作品です…!!これからも頑張ってください…!! (2019年5月28日 23時) (レス) id: 1d7aa46e15 (このIDを非表示/違反報告)
Last(プロフ) - 彩華さん» ありがとうございます。お話も割と終盤ですが今後も楽しんでいただけるよう頑張ります。 (2019年5月26日 15時) (レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
彩華(プロフ) - しんどい…好き…めっちゃ心抉られるくらいキュンときます…俺的にはどストライクすぎます。作者さん好きです() (2019年5月25日 0時) (レス) id: 3d53cc1cd6 (このIDを非表示/違反報告)
Last(プロフ) - 腐女神さん» ありがとうございます。完結まであとわずかですが今後とも気長に待っていただけると幸いです。 (2019年5月19日 2時) (レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Last | 作成日時:2019年4月27日 1時

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